小さな産地から大きく花咲け~大館ダリア~
県では、ダリアの生産拡大を図るため、秋田市雄和にある秋田国際ダリア園と連携して育成した県オリジナル品種「NAMAHAGEダリア」を中心に、生産から販売に至るまで、総合的に支援しており、栽培面積(H29)は全国1位となっています。
大館市では、平成23年に3戸の農家によって栽培が始まり、令和元年には10戸まで増え、約8万本の出荷が行われています。産地としては小規模ですが、若手生産者が増えるなど、とても活気があります。
ここでは、定植から収穫・出荷、翌年に向けた作業まで、高品質なダリアを提供するための作業の様子をお届けします!
第1回 定植作業を行いました
丁寧に定植しています
大きく育つよう願いを込めて、丁寧に挿し芽苗を定植しています。
挿し芽苗(さしめなえ)とは
成長した株から摘み取った芽を土に挿して、根を出させることで苗にしたものを挿し芽苗といいます。
ダリアは球根から栽培するイメージがありますが、挿し芽苗は、一つの株から出たたくさんの芽を苗にするため、低コストで多くの株を栽培することができるメリットがあります。一方で、水管理や温度管理において、高い技術が求められます。
NAMAHAGEダリア9期生!
今年は、NAMAHAGEダリア9期生として、「NAMAHAGE REIWA」、「NAMAHAGE プリティ」、「NAMAHAGE ノンチャン」の3品種がデビューします。どんな花が咲くかは、乞うご期待!
NAMAHAGEダリアとは
世界的に著名なダリア育種家として知られる鷲澤幸治氏(秋田国際ダリア園)と県が連携し、平成23年度から共同開発に取り組んでいる県オリジナル品種の総称です。
毎年、「NAMAHAGEダリア選抜総選挙」と題して、関東の市場関係者などによる人気投票を行い、その結果をもとに、数多くのダリアの中からデビューする品種を選抜します。
現在、上記3品種を含めて36品種がラインナップされています。
摘心(てきしん)作業をします
芽が2~3節まで育ってきたら、主茎の1番上の芽を摘み取る作業(摘心(てきしん))を行います。摘心を行うことで、脇芽の生長を促進し、花を付ける枝を増やすことができます。
ダリアの球根
ダリアの球根です。管内では、挿し芽苗の他、球根を定植する栽培も行われています。球根は挿し芽に比べ、より確実な方法として選ばれています。
第2回 高品質なダリアをお届けするために
大切な作業「摘蕾」
ダリアは、一つの枝に蕾(つぼみ)が3つ付きます(写真左側)。しかし、このままでは、栄養が3つの蕾に分散されてしまい、大きな花を咲かせることができません。
そこで、大きく美しい花を一つだけ咲かせるため、中心の大きな蕾を残して両脇の蕾を取り除く「摘蕾(てきらい)」という作業を行います。
暑さ対策「刈込み栽培」
ダリアは、暑さに弱く、気温が高い時期には、品種本来のきれいな花が咲かないことがあります。そのため、夏場の開花を避け、秋の涼しい季節まで開花期を遅らせる「刈込み栽培」を行います。
これは、夏に伸びた茎を一度切り落とし(写真の矢印部分)、切り落とした茎の下の節から出た茎を伸ばして、秋に花を咲かせる技術です。
害虫防除も確実に
写真中央の黒い虫が、ダリアにとって害虫となる「アザミウマ」です。
大きさは1~2mmと、とても小さなものですが、花びらを食べたり、病気を運んできたりする恐ろしい害虫です。
生産者は、農薬散布だけでなく、アザミウマが発生しにくい環境づくりを徹底することで、アザミウマを寄せ付けないように努力しています。
写真中央の「オオタバコガ」は蕾や花、葉などを食べてしまう害虫です。
1匹のメスの成虫から約2,000個もの卵が産まれ、さらに、食欲が旺盛で、幼虫一匹の食害量も多いので、放置すると大きな被害をもたらします。
幼虫は、花びらの奥に隠れていることもあるため、出荷するときには生産者が厳しく目を光らせて、オオタバコガの幼虫がいないか、入念に確認します。
第3回 2番花の出荷を迎えました!
収穫作業を行っています
ダリアは、最初に咲く花(1番花)を収穫した後も次々に花が咲き、現在は「2番花」の出荷期を迎えています。
写真は、NAMAHAGEダリアシリーズの「NAMAHAGE コウセイ」の収穫の様子です。
ダリアは蕾の状態で収穫すると、花が十分に開かないことがあるため、花を横から見て、半分程度まで開いた状態で収穫します。
一つ一つ丁寧に調製します
収穫したダリアを出荷する状態にすることを「調製」と言います。写真の左側が調製前、右側が調製後です。
調製作業では、基準となる長さになるように茎を切り、一番上についている葉を残して、全ての葉を切り落とします。
調製後は、生き生きとした花の状態を保つよう、鮮度保持剤を加えた水が入ったバケツに立てて、水を吸わせます。
9期生も開花しています!
今年デビューするNAMAHAGEダリア9期生です。
「NAMAHAGE ノンチャン」は、明るすぎない鮮やかなピンクが特徴的で人気のカラーです。
「NAMAHAGE REIWA」は、花びらの表と裏で紫の色合いが異なり、見る角度によって違った印象が楽しめます。
「NAMAHAGE プリティ」は表と裏で桃色の濃淡が異なり、角度によって様々な表情を見せてくれます。
防ぎたい「露芯花」
ダリアは、高温や日照不足が続いたり、昼の時間が短くなると、中心部の花びらが少なくなり、黄色い部分が現れる「露芯花(ろしんか)」と呼ばれる花を咲かせます。
露芯花は市場での評価が低いことから、生産者は、暑い時期に花を咲かせないようにするなど、きめ細かな対策を行い、露芯花の発生を抑えています。
生産者の皆さんの高い技術と愛情がぎゅっと込められたダリアが出荷されています。ぜひ、ご自宅などに飾ってみてはいかがでしょうか!
第4回 来年に向けた作業が行われています!
球根の掘り取り作業
露地で栽培されているダリアは、霜が降りると収穫が終了します。
収穫が終了したダリアの球根を植えたままにしていると、冬の間に凍ってしまい、翌年に使うことができなくなってしまうため、来年に向けて球根の掘り上げ作業を行います。
球根を傷つけないよう、株の周囲15cm程度の場所にスコップを差し込み、球根がとれないように慎重に掘り上げます。
分球作業
ダリアの球根は、一つの株にいくつか形成されますが、全てが利用できるわけではありません。
ダリアの球根の付け根には「発芽点(赤丸部分)」という翌年の芽となる部分があり、球根に「発芽点」がついていないと、定植しても芽は出てきません。
生産者は、この発芽点の位置を見極めながら、球根を一つ一つ丁寧に切り分けていきます。
球根の保管
分球作業によって切り分けた球根は、湿気があると腐敗しやすくなるため、乾燥した籾殻やバーミキュライトと一緒にコンテナ等に入れて保管します。
球根は暖かすぎると芽を出してしまい、冷えすぎると凍って腐敗してしまうため、5~10℃で保管するように気をつけます。
1つの球根が腐敗してしまうと、一緒に保管している他の球根の腐敗の原因となってしまうため、生産者は定期的に球根の保管状態を確認します。
取材協力:JAあきた北 花き部会ダリア専門会
お問合せ先
お問合せ先 | 秋田県北秋田地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興チーム |
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