農業 五城目町

第1回 育苗から定植まで

秋田地域では、昨年から湖東地区で栽培が始まった「加工用トマト」への取組が秋田市にも拡大し、平成21年には地域全体で20戸・2.1haに作付されました。

加工用トマトは買い取り価格があらかじめ決まっているため、生産者は安心して生産だけに集中できることがメリットです。生産者は全農あきたに出荷し全農あきたは全量をカゴメ株式会社に納める形で契約が結ばれています。

第1回は、育苗から定植までを紹介します。

写真1, 写真2

苗は、湖東地区・秋田市ともに苗生産者に委託生産してもらい、定植苗で各生産者に配付しています。育苗期間中からカゴメ株式会社の担当者が巡回指導に来るなど、生産から販売面までのケアがなされています。(4月14日撮影)

写真3

定植前に、JA・県の共催で栽培講習会を行いました。カゴメ株式会社は月1回程度のペースで栽培指導に来秋しますが、その間の細かな生産者対応を地元関係機関が行う形で連携しています(5月13日撮影)。

写真4, 写真5

ほ場の準備作業です。高畦を造り、マルチャーでマルチングします。加工用トマトを初めて栽培する生産者が多いため、要点となる作業時には集合研修を行い、全員で技術を確かめながら進めています。
定植苗は、節間の詰まった茎の太い良いものを用意することが出来ました(5月15日撮影)。

写真6, 写真7

定植が終わったほ場です。

  1. 根の量を手間をかけずに確保するため、高畦に深植する。
  2. サイドが黒で、上部が透明なマルチを使うことにより、抑草と地温上昇の効果を 実現する。
  3. 支柱等を必要としない露地栽培で、資材コストをかけない。

など、加工用野菜ならではの工夫がなされています(5月22日撮影)。

写真8

カゴメ株式会社の定植確認票です。

定植終了後、カゴメ株式会社の担当者が全ほ場を回り、ほ場毎の定植本数を確認します。この本数により契約出荷量が決まります(6月14日撮影)。

取材協力:あきた湖東農業協同組合、新あきた農業協同組合

第2回 ほ場での生育と安定生産に向けた取り組み

第2回は、6月中旬から8月始めにかけてのほ場での生育状況と安定生産に向けた取組を紹介します。

写真1

5月下旬の定植直後の加工用トマトです(5月22日撮影)。

写真2, 写真3, 写真4

6月下旬のほ場の状況です。

一部のほ場で老化した苗を定植したことと、定植後に好天で雨が少ない乾燥気味の気象が続いたため、生育はやや停滞した時期もありましたが、6月中旬から始まった着果は、この時点では平年並の1株あたりの着果数6.7でした。

ここでカゴメ(株)の担当者が来秋し、地域内2ヵ所で、栽培のポイントについて講習会を行い、枝の絡みをとって風通しを良くするために、株を畦の方向に倒しながら開く「枝分け」という独特の作業や追肥など、本格的な管理作業が始まりました(6月25日撮影)。

写真5, 写真6

7月上旬のほ場の状況です。

1株あたりの着果数は30~40個位で、ほぼ平年並でした。

加工用トマトは、極めて芯止りしやすく育種されており、2段程度着果すると芯が止まり側枝が伸びる、という生育を繰り返すため、自然と「こんもり」した樹姿になります。2回目の枝分け作業も終了しており、うね廻りはすっきりしてきました。果実は大きいものでピンポン玉大程度になっています(7月6日撮影)。

写真6, 写真7

7月下旬のほ場の状況です。

7月11日以降に雨がちの天気が続いて日照不足となったため、7月20日時点で1株あたり70個程度と、着果数が平年比べて7割程度に抑えられました。また、生育の初期では病害の発生は少なかったのですが、7月18日の大雨以降、最も注意しなければならない疫病の発生も見えはじめたため、ほ場内の水のはけ具合の程度に応じた防除指導が進められました(7月21日撮影)。

写真9, 写真10

8月上旬のほ場の状況です。

果実は大きなもので卵大程度となり、着色も始まりました。

着果数は依然少なめですが、使用品種はもともと成り過ぎて樹勢を落としやすいもののため、かえって樹勢維持につながるというメリットもあり、功罪半ばです。

8月上旬には出荷の目揃えも行われ、盆前から9月10日までの出荷時期を迎えます。(8月3日撮影)。

取材協力:あきた湖東農業協同組合、新あきた農業協同組合

第3回 出荷目揃えと収穫

第3回は、8月上旬の出荷目揃え講習会から9月中旬までの出荷状況を紹介します。

写真1

赤く色づいて出荷できる状態になりました(8月6日撮影)。

写真2

出荷の始まりにあわせ、

  1. 出荷に適した熟度(着色等)
  2. 出荷できるものとできないもの(病虫害等)
  3. 出荷方法(コンテナ等)
  4. 出荷日割りなど

について、生産者・メーカー・JA等関係者が意思統一するための目揃え会が行われました。
当日は、収穫期間中の最後の管理ポイント等についての講習も行われました(8月6日撮影)。

写真3

出荷に適した加工用トマトです。リコピン含有量の多さが売りの品種なので、完熟が必須です。

写真4

7月下旬のほ場の状況です。

出荷に適したサイズの早見板です。真ん中の穴(径5㎝)を通り抜けないものが出荷に適したサイズになります。

写真5, 写真6

収穫ピーク時のほ場です。日焼けをふせぐため、基本的には常に果実が葉の陰になるように管理します(8月18日撮影)。

写真7, 写真8

7月下旬のほ場の状況です。

7月11日以降に雨がちの天気が続いて日照不足となったため、7月20日時点で1株あたり70個程度と、着果数が平年比べて7割程度に抑えられました。また、生育の初期では病害の発生は少なかったのですが、7月18日の大雨以降、最も注意しなければならない疫病の発生も見えはじめたため、ほ場内の水のはけ具合の程度に応じた防除指導が進められました(7月21日撮影)。

写真9, 写真10, 写真11

収穫された加工用トマトです。黄色のコンテナはカゴメ(株)が供給しているもので、20kg入り統一コンテナでの出荷となります。収穫の翌日9時までに集出荷所に搬入し、運送業者のトラックで栃木県のジュース加工工場へ運ばれます。

※次回は、工場でジュースが出来あがるまでの工程を紹介します。

取材協力:あきた湖東農業協同組合、新あきた農業協同組合

第4回 トマトがジュースになるまで

第4回は、集荷されたトマトがジュースになるまでの過程を紹介します。

※カゴメ株式会社の全面協力により写真を提供していただきました。
※複写及び転載を禁じます。

受け入れ

カゴメ那須工場には、秋田地区で収穫されたトマトを始め、国内のカゴメ契約栽培ほ場で栽培・収穫された全てのトマトが入荷します。

投入

入荷したトマトの品質をトラックごとにチェックし、生産ラインに投入します。

洗浄

那須高原の豊富な地下水からくみ上げたきれいな水で、トマトを十分に洗浄します。

予熱・破砕

さらに、人の手で傷んだトマトなどを取り除き、最終的に選別されたトマトを細かく破砕し、搾汁してジュースにします。

調合

調合タンクで、搾汁したジュースの品質を整え、最後は人が味と香りをチェックします。

充填・密封

短時間で加熱殺菌し、缶に充填して密封します。カゴメ那須工場の缶ラインでは、1分間に1,500本を充填することができます。

後殺菌・冷却・箱詰め

充填後、缶ごとにもう一度加熱殺菌し、すぐに冷却します。

色々な検査機器で缶ごとに品質をチェックし、検査を通った製品だけが商品として箱詰めされます。

出荷

箱詰めされた商品をパレットに積み、崩れないようにフィルムを巻きます。商品の製造履歴を遡ることができるバーコードが記録されたカードが貼られ、お客様のもとへ出荷されます。

取材協力:カゴメ株式会社

お問合せ先

お問合せ先秋田県秋田地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興チーム
住所〒010-0951 秋田県秋田市山王四丁目1番2号
電話番号018-860-3371
FAX番号018-860-3363

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