表彰 担い手 農業 大館市

ふるさと秋田農林水産大賞の受賞者の業績を紹介します。

・令和4年度ふるさと秋田農林水産大賞(担い手部門・未来を切り拓く新規就農の部) 太田美鶴

1 経営発展の経過

●昭和61年

 大館市で生まれ、生後半年で大館市を離れた。

●平成17年

 東京農業大学へ入学。大学では果樹研究室に所属し、主に熱帯果樹を研究した。

●平成22年

 大学卒業後は就職し、主に落葉果樹に関する仕事に従事した。各産地の状況を知ることで、農業への関心を深めていくとともに、自分自身も本格的に農業に挑戦してみたいと考えるようになった。

●平成28年

 社会人6年目の時に、自分のルーツである大館市での就農を志し、両親とともに移住した。
 同年6月から『”あきたで農業を”定着サポート事業』、10月から『地域で学べ!農業技術研修』(平成30年3月まで)を活用し、同市中山地区の果樹生産者のもとで、露地果樹・野菜・水稲栽培等に加え、教養科目や農業簿記等の経営管理を学んだ。

●平成30年

 果樹栽培を希望して就農したが、先輩生産者の助言もあり、早期に収入を得ることができるねぎ栽培に取り組んだ。

●令和2年

 ねぎ栽培の拡大とともに、中山地区で廃園を考えていた生産者から既存の果樹園地を借りて、就農当初より希望していた果樹栽培をスタートさせた。

露地ねぎの様子

2 経営内容

(1)本人+父、姉の家族経営

 本人と父が中心となり作業に当たり、収穫や調整等の繁忙期は姉が雇用として補助している。

(2)ねぎでスタートし、いずれは果樹主体へ

 就農当初は園地の確保が難しく、地域振興作目のねぎ栽培を主体に経営基盤を築いた。今後は、果樹を拡大し、いずれは果樹主体の経営を目指している。

 就農時から農業に対する意欲が十分で、常に課題意識を持ちながら栽培技術の研鑽に努めるとともに、地域の若手果樹生産者の研究会に参加し、新しい栽培方法や技術導入へも積極的に取り組んでいる。

(3)経営の現状

3 消費者や実需者等ニーズに対応した取組

 ねぎ、日本なし、りんごはJA出荷に加え、地元の直売所やスーパーのインショップでの販売など、販売チャネルの拡大により、価格の安定化を図っている。

 また、直売等を行うことで、自ら消費者の嗜好やニーズの把握に努めている。

園地で普及指導員と情報交換

4 技術紹介

(1)ねぎ

 育苗ハウスを活用し、大苗早どり作型を組み合わせることで、8月から12月までの長期出荷を行っている。

 作型配分についても自身の営農状況に合わせ、果樹と作業時期が重複する秋冬作型ではなく、夏どり作型を中心とした作付を行っている。

 栽培管理技術も高く、土壌処理剤を活用した省力化除草体系等を実践している。また、単収や出荷量は地域でも上位の成績となっている。

ねぎの出荷調整作業

(2)果樹

 一部の生産性の悪い園地は、伐採し、日本なしに改植した。りんごについても、老齢樹のため作業性が悪く、小玉果が多いことから、今後、改植を図り生産性の高い園地づくりを目指す計画である。

 改植に当たって、消費者ニーズの高い品種を導入するとともに、大玉果の生産を目指して早期摘果に努め、樹上で熟した適熟果の収穫により、食味の良い果実生産を実現している。

樹上で完熟した果実を収穫

5 その他特記事項

 農外からの新規参入者は、優良農地の確保が難しいなど、参入障壁が高いといわれているほか、地域コミュニティにうまく溶け込めずに孤立するケースもある。

 太田氏も、就農当初は樹園地の確保が難しい状況であったが、就農にあたり関係機関や先輩生産者の助言を聞き、ねぎ栽培からスタートするなど、地域との良好な関係を築いていくことで、本人の実直な性格と農業に向き合う真摯な姿勢を多くの関係者が認めることとなり、樹園地の斡旋につながった。

 地域の果樹農家の高齢化が進み、経営を断念する生産者が増えている中、農家同士、積極的に情報交換をしながら切磋琢磨して営農に取り組んでおり、果樹産地の継承者としての活躍が期待される。

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