表彰 担い手 農業 三種町

ふるさと秋田農林水産大賞の受賞者の業績を紹介します。

・令和4年度ふるさと秋田農林水産大賞(担い手部門・経営体の部) 農事組合法人細越牧場

 ※農林水産大臣賞も同時受賞!

1 経営発展の経過

●平成21年

 搾乳牛50頭規模で農事組合法人細越牧場を設立した。

●平成22年度

 北秋田地区草地林地一体的利用総合整備事業を活用して、150頭規模の乳用牛舎、堆肥舎及び搾乳パーラーを整備し、飼養頭数の大幅な拡大を図った。

●平成27年度

 三種町の酪農家が当法人のみとなり、耕種農家が使用する堆肥の調達難や、牛群改良の停滞による畜産農家の生産性低下が懸念された。そこで、代表は、「地域に感謝し、地域を活性化させること」を理念に、規模拡大を決意した。

●平成28~29年度

 さらなる規模拡大に向け、畜産クラスター事業(機械導入事業)により自給飼料用機械を導入し、自給飼料の安定確保に努めた。

●令和元年度

 畜産クラスター事業(施設整備事業)により、乳用牛舎(150頭規模)と堆肥舎を新設した。

●令和2年度

 農業近代化資金や酪農経営確立支援事業等を活用して、乳用牛100頭を導入し、自家育成牛と合わせ300頭規模の経営を目指した。また、畜産クラスター事業(機械導入事業)を活用し、各種機械を導入した。

2 経営内容

(1)特徴的な取組

 現在、牧草地を管理し、高齢化した農家の転作田の担い手になるなど、耕作放棄地の解消や転作田の有効活用に貢献している。

 また、規模拡大にあわせて、新たに、次の3つの省力化機械設備を導入して飼養管理作業の改善及び労働負担の軽減を図っており、経産牛1頭当たりの年間搾乳量は平成30年度以降、県内トップクラスの10,000kg台で推移している。

  1. 搾乳システム:個体の乳房を確認しやすくし、搾乳時間を削減するため、ミルキングパーラーを導入している。
  2. TMR給餌体制の整備:稲WCSを主原料とし、輸入ルーサン、濃厚飼料、添加物をミキサーで配合し、トラクターでけん引しながら給餌している。
  3. 牛群管理システム:牛群管理データ計測のための「Afiタグ2」を乳牛の足に取り付け、管理ソフト「Afiファーム」で全牛群を管理している。

 このほか、経営効率化により生まれた余剰労働力を有効活用し、繁殖管理や子牛の育成管理、自給飼料生産を行っている。

(2)心強い後継者

 長男の細越大紀氏は大学を卒業後、他業種に就職したが、父の真利雄氏が畜産経営の規模拡大を図るという話を聞き、自分にも何かできることがないかと模索。もともと動物が好きだったこともあり、自ら間近で父をサポートすることを決意して平成29年に就農し、それまで代表の真利雄氏が中心となって取り組んできた経営に、新たな風が吹き始めた。

 31歳という若さながら、酪農経営に対する強い熱意と、父を全力でサポートする姿勢は、目を見張るものがある。ベテランである真利雄氏にとっても、大紀氏の存在は大きく、よき理解者であり協力者となっている。いずれ真利雄氏の後を継ぎ、代表となることを見据えながら、「牛をとにかく観察して、飼養管理技術を磨いていきたい。父親を見て、何が大切なのかをしっかり教わりたい。」と、将来の細越牧場のことを常に考えている。

 真利雄氏は一歩引いた視点で、大紀氏が自ら積極的に飼養管理作業や経営に向きあう姿を見守っている。

(3)経営の現状

3 消費者や実需者等ニーズに対応した取組

 近年、消費者から牛乳の品質安定を求める声が特に目立つようになったことで、生乳の生産現場に注目が集まっている。細越牧場では、安全・安心で、風味のばらつきがない安定した品質の生乳を生産するための取組を行っている。

(1)快適な飼養環境の構築

 乳牛は暑さに弱く、気温変動の影響が乳成分に顕著に現れるため、従業員は暑熱対策に対する意識を高く持っており、雨や風向きの変化をいち早く察知し、頻繁にカーテンの開放を行うなどの管理を徹底している。

 また、牛舎等の整備により飼養密度を適正化しているほか、細霧機や送風機を設置して夏季の暑熱やストレス軽減を図るなど、快適な飼養環境の構築を心がけている。

 これらの対策は乳房炎の発生の低減にも繋がっている。特に夏季は、産前乳房炎が問題となるため、牛群検定成績を活用し、個体毎の体細胞数を定期的に把握することで、早期発見と治療に取り組んでいる。

(2)定期的な繁殖状況の確認

 民間獣医師や家畜保健衛生所の獣医師から定期的に雌牛の繁殖確認及び指導を受けて分娩率の向上を図るなど、個体の健康づくりに努めている。

 また、牛群管理システム「Afiファーム」といったICT機器の導入により、関係者が牛の繁殖行動や個体毎の乳量等のデータを携帯電話等で確認し、牛の健康状態の変化を早期に発見して対応できる体制が整っている。

 こうした取組により、搾乳牛の能力が最大限引き出されているだけではなく、疾病の未然防止や、現場で働く従業員の意識統一に繋がっている。

母牛の健康状態を毎週確認
細霧装置稼働の様子

4 技術紹介

 家畜導入に当たっては外部購入のみに頼らず、性判別精液を活用した効率的な自家産後継牛の確保を積極的に行っている。

 また、民間獣医師による繁殖検診を毎週実施しており、発情周期を把握して適期授精を行っているほか、繁殖障害等を治療または淘汰することで適正な個体管理を進めるなど繁殖成績の改善に努め、分娩間隔の維持を図っている(R3実績13.7か月)。

 さらに、牛群検定成績から乳成分の数値を算出し、牛の健康状態や繁殖成績との関連性を分析し、講ずべき対策を獣医師と相談している。

常に清潔に保たれた牛舎

5 その他特記事項

 酪農経営は搾乳等の飼養管理作業が多いため、近隣住民や若者を積極的に雇用し、地域の雇用創出に貢献しており、雇用後は技術習得やスキルアップが可能な体制も整備している。

 また、自給飼料の生産を増やすため、牧草地を借り受けて作付面積を拡大しているほか、近隣農家に対しても稲WCSの作付けを働きかけている。飼料作物生産に当たっては、省力化機械を導入し、適期作業と草地更新に努めるとともに、ほ場の土壌分析を定期的に実施することで適切な施肥を行い、自給飼料の品質向上と安定化を図っている。

稲WCSによる飼料自給率の向上

 さらに、良質な堆肥生産に努め、JAの堆肥流通施設を通じて地域の農地へ還元するなど、地域内での耕畜連携体制においても重要な役割を果たしている。

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