
「半促成アスパラガス」特集(由利地域)
目次
(1)「半促成アスパラガス」とは

アスパラガスについて
アスパラガスは多年生植物で、葉で作られた栄養分によって生長した若い茎を収穫して食用にします。
本県では、これまで露地における栽培がほとんどで、冬期間の販売を狙った促成栽培(伏せ込み栽培)が一部で行われている状況でしたが、近年はいずれの作付面積も減少傾向にありました。
半促成アスパラガスについて

こうした中、近年、パイプハウスで加温せずにアスパラガスを栽培する「半促成栽培」が近年普及してきており、令和5年度にはJA系統出荷量の約2割を占めるまでに拡大しています。

半促成栽培はパイプハウス内で栽培するため、降雨による影響が少なく、低温時期の保温に優れるため、露地で栽培するよりも長く収穫でき、みずみずしい太物を多く収穫できることが特徴です。
アスパラガス半促成栽培の出荷時期 | 3月下旬~10月上旬 ※露地栽培は5月上旬~9月下旬 ※促成栽培は12月中旬~2月下旬 |
産地 | JA秋田しんせい管内など県全域 |
(2)産地の概要
JA秋田しんせいでは、平成26年に農家2経営体、栽培面積0.1haから半促成栽培をスタートし、令和6年は31経営体、3.6haまで拡大しています。アスパラガスはJA秋田しんせいが取り扱う野菜の中で、販売額が最大の品目であり、近年は若手農家や新規就農者を中心に半促成栽培の取組が増加しています。
この記事では、半促成アスパラガスの産地であるJA秋田しんせい管内の生産現場の様子をご紹介します!
(3)春芽の様子

前年度に貯蔵根に蓄えられた養分を元に萌芽する“春芽”を3月~5月上旬に収穫します。
令和6年4月は天候に恵まれ、気温が高く推移したため、半促成栽培の収穫は4月上旬から始まりました。
(4)夏芽の様子
夏芽の立茎作業

春芽の収穫以降も長期間にわたって収穫できるよう、一度、収穫を休止し親茎を伸長させる“立茎”を行います。
立茎では、親茎となるちょうど良い太さの若茎を選びながらバランス良く間隔を開けて伸長させなくてはならず、農家の高い技術が求められる重要な作業になります。
親茎の葉が展開し、光合成によって貯蔵根に養分が十分に蓄えられると、親茎の間から“夏芽”が萌芽します。
夏の管理作業

パイプハウスでは雨による水分を利用できないため、かん水チューブをハウス内に設置し、定期的に水やりを行います。
露地栽培では降雨が多くなる6~7月に病害の発生も多くなりますが、雨水の侵入を防ぐことができる半促成栽培では、病害の発生を低減できるメリットがあります。

また、夏はパイプハウス内の温度が高くなるため、パイプハウスの横側や出入り口を開放し換気を行うとともに、若茎が萌芽する地際付近にある下枝を取り除き、風通しを良くします。
品質の良い“夏芽”を収穫できるよう、注意して管理作業を行いながら、7月~10月まで“夏芽”の収穫を行います。
今年は7月に大雨に見舞われ、8月には高温の日が続きましたが、半促成栽培は気象条件の影響を比較的受けにくく、順調に生育しました。
(5)次年度に向けた準備

夏芽の収穫終了後は、葉が黄化する12月頃まで栽培管理を行い、葉の光合成を促すことで、貯蔵根の養成を行います。
半促成栽培は、露地栽培よりも秋の栽培期間が長いため、貯蔵根を大きく養成することができ、高品質なアスパラガスをより多く生産することができます。

取材した現場には、今年の5月に定植された株がありましたが、12月になっても葉の緑色を保たれ、光合成による株の養成が行われていました。
12月から1月にかけて地上部の茎葉を刈り取り、一年間の栽培が終了します。
(6)JA秋田しんせいアスパラガス部会 今野純一部会長より

天候の影響を受けにくく、生産が安定している半促成栽培は、取り組む人も増えています。
JA秋田しんせいのアスパラガスは、緑色が濃く、品質が良いことから、市場評価が高く、JAの販売額3億円を目指しています。
春になると地下の株に蓄えられた養分を利用して勢い良く出てくる春芽を期待しています。
秋田県産の高品質なアスパラガスを是非ご賞味ください!
お問合せ
お問合せ先 | 秋田県由利地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興チーム |
住所 | 〒015-8515 秋田県由利本荘市水林366番地 |
電話番号 | 0184-22-7551 |
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