
雄勝地域のりんご県オリジナル品種「秋田紅ほっぺ」
雄勝地域のりんご栽培面積は215haと、県内でも有数の産地となっています。その中でも、駒形地区の栽培は歴史が古く、最初の植え付けから100年以上が経過しています。
長い間、駒形地区では、「ふじ」、「王林」、「早生ふじ」等が主な品種となってきましたが、近年、県オリジナル品種「秋田紅ほっぺ」の導入も進んでいます。
「秋田紅ほっぺ」は、2009年に品種登録された新品種で、果皮色は花粉親の「さんさ」に似て明るく鮮やかな紅色を呈しており、食味は甘みが多く、酸味が少ないという特徴を持ち、加えて多汁で芳香があり、早生種の中でも優れた品質を有しています。
秋田りんご四姉妹の末っ子としてデビューした「秋田紅ほっぺ」は、県を挙げて産地拡大に取り組んでいます。
第1回 雪解けから開花まで
春を迎える園地

北国の秋田にも、少し遅めの春が到来し、園地の雪も解け始め、木が芽吹く準備をしています。
「秋田紅ほっぺ」の開花

満開期の様子です。
今年は、暖かく天気の良い日が続き、開花日も例年より早くなりました。
受粉に活躍するマメコバチ

マメコバチの巣の様子です。訪花昆虫であるマメコバチの巣は、この様に園地に置かれています。
訪花昆虫とは
ミツバチやマメコバチなど、花の蜜や花粉を集める昆虫のことです。
マメコバチの巣

マメコバチは、ヨシの茎中に巣を作り、卵を産みます。春になり、気温が14℃以上となると巣から飛び立ち、花粉を集めにいきます。
ヨシとは
河川の下流域などに茂みをつくって、自生している植物です。茎は中空で筒状となります。
花粉を集めるマメコバチ

マメコバチが園地の花々を飛び回ることで、りんごの受粉が進みます。
ちなみに、マメコバチには針がないため農家さんにとっても安全な訪花昆虫です。
第2回 摘果作業が終盤を迎えています!
摘果前の果そう

樹に多くの実が成っている状態で生育が進んでしまうと、栄養分が分散してしまい、果実が小玉化してしまいます。
そこで、余分な果実を間引く摘果作業が必要となります。
(写真は「ふじ」の果そう)
果そうとは
5~6個の果実とその周りの葉で構成される部分のことです。
摘果後の果そう

1つの果そう中で、中心果以外の果実(側果)を摘果します。この作業は、中心果に栄養を集め、良質な果実を生産するために行います。
(写真は「秋田紅ほっぺ」の果そう)
中心果とは
1つの果そう中で中心に位置する果実のことです。一般的に良質な果実が成ります。
摘果作業

摘果作業は写真の様に、はさみ又は手作業で行われています。そのため、樹1本あたりの摘果には相当な時間がかかっています。
側果とは
中心果の周りの実のことであり、一般に摘果の対象とされます。
高所の摘果作業

高所の摘果作業には、脚立を使います。
樹全体の摘果を行うには、脚立の移動を何度も行います。
第3回 収穫作業が始まりました!
収穫前の果実

写真は収穫10日前の果実です。果実全体が赤く着色するように、葉摘みや玉回しの作業を行います。
葉摘みとは
果実の着色に必要な太陽光を確保するため、果実を覆う葉を摘む作業のことです。
収穫期の果実

今年は9月2日頃(昨年より4~5日早い)から収穫が始まりました。写真の様な鮮紅色になるのが「秋田紅ほっぺ」の特徴です。
玉回しとは
太陽光が果実全面に当たるように、果実を回す作業のことです。葉摘み作業と同様、着色管理の作業となります。
収穫作業

果実を収穫する際は、ツルが果実から抜けないように、果実を持ち上げるかたちで収穫します。
鮮紅色のきれいな果実

売り場に陳列されると、鮮やかな紅色がとても目を引きます。
甘さと酸味のバランスがよく、パリッとした食感が楽しめます。
第4回 選果作業の様子
選果場の外観

写真は、湯沢市の駒形選果場です。
出荷が始まると、人の出入りが激しくなり、活気ある現場となります。
選果場内の様子

りんごの選果を開始した選果場です。
段ボールの組み立て、選果、箱詰め等一連の作業がここで行われます。
まずは人の手で!

手作業による選果が第一工程となります。 ベテラン農家さんの厳しい目によって、りんご1つ1つの品質を確認します。
光センサーでチェック!

手作業での選果を終えると、続いてりんごは、光センサーによる第二工程に入ります。
りんごは、ベルトコンベアの上に載せられ、自動でセンサーを通過していきます。
光センサーとは
果実の1つ1つに光を照射し、果実内部を透過した光の量から、糖度・酸度・内部障害などを測定する機械のことです。
箱詰め作業!

光センサーを通過したりんごは、自動で品質別に分けられ、それを手作業で箱に詰めていきます。
機械による工程が多いので、選果は流れるように進んでいきます。
箱詰め完了!

りんごは、この様にきれいに箱に並べられます。
一般的な早生品種に比べると、秋田紅ほっぺは着色が良いのが特徴です。
選果作業終了!

箱詰めを終えると、運送用トラックへと積み込まれ、市場へと出荷されます。
取材協力:JAこまち果樹部会駒形支部
お問合せ
お問合せ先 | 秋田県雄勝地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興チーム |
住所 | 〒012-0857 秋田県湯沢市千石町二丁目1番10号 |
電話番号 | 0183-73-5180 |
FAX番号 | 0183-72-6897 |