由利地域 みんなで「元気な松林」をつくろう
第1回 松林健全化ボランティア作業(H20.11.8開催)
海岸松林は、化石燃料等の普及から落ち葉の利用が全くなくなったことから、落ち葉が林床に厚く堆積し腐食して肥沃な土壌となっています。
クロマツはもともと痩せ地に生育し、菌根菌と共生して、土壌中の無機栄養が乏しい環境で生育する能力を高めています。
このため、肥沃化した松林は、菌根菌が減少し生理的に脆弱な状態になっていて、人間に例えるとメタボな状態と言えます。
施工前のメタボなクロマツ林
海岸松林の多くの林床は、落ち葉等で肥沃な土壌(メタボな状態)になっています。
由利地域振興局では、平成12年度から始めた松くい虫被害地への植栽が今年度で概ね完了するところです。
今年度から新たに、松林の健全化のため林床整備(落ち葉掻き)を実施することにしました。
広葉樹の伐倒作業
メタボ改善のため、まず松林に侵入した雑木を除去します。
肥沃な土壌(雑草)の剥ぎ取り状況
次に、林床に堆積した落ち葉や雑草の根を剥ぎ取ります。
継続的な落ち葉掻きが重要なため、地域のボランティアを募集して、落ち葉掻きの普及啓発を実施してます。
雑草等の運搬状況
剥ぎ取った表土を林外へ排出します。
昔のリヤカーも運搬には最適です。
落ち葉の利用も検討します
落ち葉の利用を考え、今年度は堆肥化の実験を実施します。
堆肥化は発酵促進剤等を用いて、12月22日に西目高校の敷地で行う予定です。
昔懐かしい「白砂青松」風景が蘇った!
これで完了ではありません。これからが健全化のはじまりです。
今後、毎年春と秋の2回実施する予定です。次回は堆肥化について報告します。
取材地区:由利本荘市石脇
第2回 落ち葉の堆肥化作業(H20.12.22開催)
クロマツ落ち葉の利用(堆肥化)について
県内の状況
- 三種町(旧八竜町)では、昭和の頃までメロン栽培に利用されていたが、現在は利用されていない。
- 潟上市天王字上出戸の園芸組合では、最近までトマト栽培等に利用されていた。
県外の状況
- 佐賀県唐津市のたばこ組合では、25年ほど前から育苗等に利用している。
- 新潟県上越市の農場では、長期発酵させた堆肥で野菜栽培に利用している
(根こぶセンチュウ(連作障害)の発生を抑制しいてると思われる) - 埼玉県では、昔からアカマツと思われる落ち葉の堆肥を利用している。
以上様々に利用されています。
今回は実際に堆肥を作り、西目高校のご協力のもとに野菜栽培等で、連作障害を抑制する効果を検証します。
ボランティア活動等で集めた落ち葉
11月8日のボランティア活動と、地元森林組合の協力により集めた落ち葉、約55m3です。
マツ葉は、炭素成分が多いため堆肥になるまで時間がかかります。
早期堆肥化のため発酵促進剤等を散布
堆肥化には通常2~3年必要ですが、発酵促進剤等を用いて3~4か月での完成を目指します。
使用材料
- 発酵促進材(活性材、栄養材)220kg
- 発酵助材(発酵を活性化) 440kg
以上の材料でpHを中性に調整し、堆肥化します。(通常の葉だけの堆肥はpH3~4位)
重機による攪拌
地元森林組合の協力によりローダーで葉と促進剤を混ぜ合わせます。
散水車からホースでマツ葉に散水
適度に混ぜたところに、散水して再度攪拌して完了です。
使用した水量は、マツ葉に水分が吸収しにくいため、通常より少ない4tでした。
完了後の葉の温度
(左)終了後の深部(1m)の温度は12度でした。
(右)2日後の24日には中心部は70度ありましたが、表面は凍っていました。
終了後の落ち葉
堆肥化までは、発酵温度等を確認しながら重機による攪拌を4回程行い、3月末に完成する予定です。
完了時の堆肥の量は、10m3前後と思われます。
取材地区:由利本荘市(西目高校農場地内)
お問合せ
お問合せ先 | 秋田県由利地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興チーム |
住所 | 〒015-8515 秋田県由利本荘市水林366番地 |
電話番号 | 0184-22-7551 |
FAX番号 | 0184-22-6974 |