農業 横手市

横手市は、県内最大のぶどう産地であり、これまで「キャンベル・アーリー」や「ナイアガラ」、「スチューベン」などの中粒種を主体に栽培を行ってきました。

近年では、大粒の種無しぶどうの消費者ニーズが高まっていることから、JA秋田ふるさとぶどう無核会が結成されるなど、種なし大粒ぶどうへの組織的な取り組みも行われています。

中でも、食味が良く、皮ごと食べられる高級ぶどう「シャインマスカット」への取り組みが進んでおり、横手産「シャインマスカット」のブランド化へ向けて取り組んでいます。

第1回 記録的豪雪からの復旧~展葉期

雪に埋まったぶどう棚(2月頃)

横手市は、最大積雪深192㎝(横手市アメダス)という記録的な豪雪に見舞われ、ぶどうの棚も雪の中に完全に埋もれてしまいました。

ぶどう棚の積雪の様子(2月頃)

棚面のすぐ真下まで雪が積もっており、積雪深は2m近くなっています。

棚からの除雪作業(2月頃)

雪に埋没した枝を掘りあげるため、連日園地に入り作業を行いました。

発芽期(5月10日頃)

春を迎え、豪雪に見舞われた樹でも芽が動き出しました。
消雪の遅れから、ぶどう全般で発芽が例年より1週間ほど遅れました。

発芽期とは

芽のリン毛がとれて第1葉の葉先が見えるようになった時期。

展葉期(5月20日頃)

発芽からおよそ1週間、展葉期を迎えました。隣から出ている生育の遅い副芽は、あとで取り除きます。

展葉期とは

第1葉が完全に展開した時期。

第2回 種なしのための重要な作業「ジベレリン処理」

開花前の園地(6月20日)

開花前には、ハウスの被覆をし、新梢の整理や肩かきなどを行います。

開花期の花穂(6月24日)

開花期を迎え、花穂整形の適期になりました。

開花期とは

花穂の20~30%が開花した時期のこと。

花穂の整形(6月24日)

開花期には、花穂の先端を4cmくらいに整形します。

道具は使わず指でしごくようにして行います。

支梗を目印に(6月24日)

満開期を迎え1回目のジベレリン処理を行う時期となりました。

満開期の花穂(6月27日)

満開期を迎え1回目のジベレリン処理を行う時期となりました。

満開期とは

花穂の80%が開花した時期のこと。

ジベレリン処理1回目(6月27日)

ジベレリン25ppmとフルメット5ppm、食紅が入った溶液を専用のカップで1房ずつ浸漬処理していきます。

ジベレリン処理1回目

1回目のジベレリン処理は、満開期~満開3日後に無種子化と着粒安定を目的に行います。

ジベレリン処理1回目から11日後(7月8日)

ジベレリン25ppmとフルメット5ppm、食紅が入った溶液を専用のカップで1房ずつ浸漬処理していきます。

ジベレリン処理1回目

1回目のジベレリン処理は、満開期~満開3日後に無種子化と着粒安定を目的に行います。

ジベレリン処理2回目(7月8日)

ジベレリン25ppmと食紅が入った溶液を専用の器具で1房ずつ浸漬処理していきます。

ジベレリン処理2回目

2回目のジベレリン処理は、満開10日後~満開15日後に果粒肥大促進を目的に行います

ジベレリン処理器「らくらくカップ2」

2回目処理のときは、「らくらくカップ2」という器具を使います。

カップ上部からシャワー状に液が出ており、常に満杯と同じ状態になります。

第3回 「摘粒」~収穫前最後の作業「袋かけ」

摘粒前の果房(7月19日)

摘粒前は、内向きの果粒や小さい果粒などがあり密着しています。密着していると肥大が抑制されたり、肥大とともに裂果を引き起こしたりします。

房形の整形、果粒の肥大促進、裂果防止のためこれらを摘粒します。

袋かけ前の摘房(8月9日)

袋かけを行いながら房を見直し、形の悪いものは摘房します。また、着粒数も見直し、必要であれば摘粒して調整します。

袋かけとは

晩腐病等の病害や果粉の溶脱、裂果を防止する効果があります。

袋かけ(8月9日)

シャインマスカットは、収穫期まで果皮色を黄緑色に保つため、青色の袋を使います。

袋かけを終えた園地(8月9日)

園地すべての果房への袋かけを終え、収穫を待つのみとなりました。

シャインマスカット新規栽培者説明会(7月15日)

平鹿地域振興局では、新規栽培者を対象としたシャインマスカットの栽培方法等に関する説明会を開催しました。

ぶどう生産者を中心に約40名が参加しました。

長野県への先進地視察(8月4日)

JA秋田ふるさとぶどう無核会は、長野県で視察研修会を行いました。

会員約20名が参加し、果樹試験場や園地においてシャインマスカットの取り組みや技術等を学びました。

第4回 いよいよ収穫!

シャインマスカット現地巡視会(9月3日)

JA秋田ふるさとぶどう無核会で現地巡視会を実施し、栽培方法や生育状況などの意見交換を行いました。

収穫まであと1ヶ月(9月3日)

果実の肥大が進み、収穫まで残り1ヶ月ほどとなりました。収穫までには、もう少し緑色が薄くなり、粒も大きくなります。

種なしぶどう目揃い会(9月8日)

JA秋田ふるさとぶどう無核会で、種なしぶどうの出荷目揃い会を行いました。

終了後、種なしぶどうの集荷が始まりました。
(写真のぶどうは「藤稔」)。

シャインマスカット目揃い会(9月20日)

9月20日にはシャインマスカットの出荷目揃い会を行いました。
果実の大きさや果皮色について目合わせを行い、21日からシャインマスカットの集荷が始まりました。

シャインマスカット試食検討会

平鹿地域振興局では、10月4日にシャインマスカット試食検討会を開催しました。

生産者から果実20点が出品され、生産者、関係機関による試食評価や意見交換が行われました。

目標とするシャインマスカット(10月4日)

試食検討会の中で、1房の重さ500g前後、糖度18度以上を目標とすることが話し合われました。

今回の出品物は平均530g、糖度17度と目標にはわずかに届きませんでした。

店頭で販売されている様子(10月9日)

横手産のシャインマスカットは、店頭ではこのようなシールを貼って販売されています。

価格は他のぶどうよりやや高いですが、今年は数量が少なくとても希少です。店頭でお見かけの際は是非購入してみてください!

取材協力:JA秋田ふるさとぶどう無核会

お問合せ

お問合せ先秋田県平鹿地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興班
住所〒013-8502 秋田県横手市旭川一丁目3番41号
電話番号0182-32-9501
FAX番号0182-33-2352

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