表彰 担い手 農業 横手市

ふるさと秋田農林水産大賞の受賞者の業績を紹介します。

令和5年度ふるさと秋田農林水産大賞(担い手部門・未来を切り拓く新規就農の部) 黒澤宏嘉・絵美子

1 経営発展の経過

●平成26年

 平成18年に上京していた宏嘉氏は、長男の誕生を契機に“家族と一緒にいる時間を大切にしたい”との思いで帰郷を決意し、農業で家族を支えることを目指す。

●平成27~28年

 宏嘉氏が横手市実験農場の「地域で学べ!農業技術研修」を受講。

●平成29年

 宏嘉氏が就農。パイプハウス4棟(10a)でトマト栽培を開始し、冬期にはみつばを生産。就農1年目から地域の平均単収を上回る成果を上げた。

●平成30年

 絵美子氏は、東京での生活と異なり、食事や休憩時には家にいる宏嘉氏を見て安心するとともに、宏嘉氏のトマト栽培にかける姿に刺激を受け、自らも就農を決意。

●令和2年

 トマトハウス3棟を増棟。作付面積を拡大して雇用を確保しつつ、家族一丸となって更なる経営強化を図る。

2 経営内容

(1)トマト

 実験農場でのシミュレーションを生かした作業循環で、パイプハウス7棟(17a)をフル回転させて、経営のメインとなるトマトを栽培している。

 高い栽培技術と雇用労務管理により、令和3年には、20.6t/10aと過去最高の収量となり、その後も経営指標を上回る安定した収穫量を確保している。

トマトハウス遠景

(2)みつば

 冬期の野菜品目として10aでみつばを栽培し、関東の卸売業者との直接取引を行っている。

(3)経営の現状

3 消費者や実需者等ニーズに対応した取組

(1)トマト

 単位面積当たり収穫量の増大を目標に掲げ、栽培講習会に必ず出席するなど、技術の研鑽を怠らず、気象の変化に柔軟に対応しながら真摯にトマトと向き合っている。

 また、共選の出荷基準に合った出荷を徹底しているほか、気温の違いによってトマトの収穫時期を変えるなど、トマト部会員として誇りを持って生産に取り組んでいる。

確かな技術で優れたトマトを生産

 令和2年のハウス増棟に伴い雇用を拡大した際には、従事者に1週間付き添ってトマトの選別・収穫方法を教えるなど、技術指導を徹底し、人材の育成と良品の出荷に努めている。

(2)みつば

 トマト収穫後の冬期品目として、正月用の切みつば軟化栽培を実施している。

 夏季に株の養成を行い、堀り上げやハウス内への伏せ込みを経て12月に収穫し、卸売業者へ直接出荷している。

正月用のみつば栽培

4 技術紹介

(1)ほ場の排水改善

 多くの園芸ほ場において、ロータリー耕の下層に耕盤が形成されて浅根となることを踏まえ、急な強雨でも倒伏しないよう、ほ場回りには深さ50㎝以上の明渠を施工したほか、ハウス脇にも30㎝の補助明渠を施工し、排水路とつなげることで排水改善を図っている。

ほ場回りの深い明渠

(2)適切な地温確保

 園芸作物は、いかに根を伸張させるかが重要であり、トマトの場合、地上部と地下部の生育適温は異なるため、春先は株回りにグリーンマルチを用いて地温の確保に努め、梅雨明け後は通路に白黒ダブルマルチを用いて地温の上昇を防ぐなど、多収に向けた土台づくりを行っている。

地温上昇を防ぐ取組

(3)夏場の樹勢確保

 トマト栽培では、梅雨明け後の8月上旬は樹勢が落ちやすいことに加え、果実の肥大期が高温期と重なり、その後は小玉になりやすい。

 このため、樹勢低下が長期間に及ばないように、7月下旬からわき芽を伸張させて十分な葉面積を確保し、8月中下旬以降も、より多く収穫できるよう樹勢維持を図っている。

収穫量を支える健全な葉

5 その他特記事項

(1)経営分析

 就農開始時は、選外出荷品をスーパー等へ納品していたが、調製作業に手間取り、時間当たり収益性が悪いことを分析する。

 共選出荷に絞り生産に集中する方針に切り替えた結果、令和3年に部会最高単収の20.6t/10aを確保し、JA秋田ふるさとトマト部会の最優秀生産者表彰を受賞した。

(2)地域への貢献

 現在は常時3名を雇用し、地域経済の活性化に努めている。

 前職で苦労した経験を踏まえ、労働者に寄り添った経営理念に基づき、労働環境の整備や丁寧な技術伝達に努めており、結果的に品質の良いトマトの生産につながっている。

夫婦そろっての整枝作業

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