表彰 担い手 農業 湯沢市

ふるさと秋田農林水産大賞の受賞者の業績を紹介します。

・令和5年度ふるさと秋田農林水産大賞(産地部門) JAこまち花卉部会

 ※農林水産大臣賞も同時受賞!

1 産地発展の経過

●昭和60年代~

 県内に先駆けて湯沢市や羽後町三輪地区でトルコギキョウ生産が始まり、平成3年にはトルコギキョウ栽培研究会を立ち上げて技術の研鑽と生産拡大を進めた。

●平成11年

 JAが広域合併したことを受け、「JAこまち花卉部会」が誕生し、栽培技術の研鑽、出荷規格の統一による安定生産を目指した。

●平成19年

 不定期に行っていたほ場巡回について、月1回部会員で巡回することとし、各部会員の生産管理状況とその後の管理について意見交換できる場を作った。

●平成30年

 JAを事業主体とする「メガ団地等大規模園芸拠点整備事業(ネットワークタイプ)」に若手農業者2名が参画し、生産拡大に拍車がかかった。

●令和2年

 前年度に新たに整備されたJA広域集出荷所の予冷庫で、出荷物を2℃以下で24時間以上予冷し、植物の呼吸を抑えることで出荷輸送中の品質を保持する取組を開始した。

●令和4年

 コロナ禍においても高品質のトルコギキョウを生産するための努力を続け、過去最高となる販売実績を上げた。

2 活動内容

(1)栽培技術の研鑽

 栽培期間中、月1回部会員が集まって各生産ほ場を巡回し、各々の生産管理状況の把握するとともに、その後の管理について意見交換を行っている。

 また、年に1回以上は県内外の産地への視察研修を実施し、他産地と情報交換するとともに、新技術の導入について検討を行っている。

ほ場巡回による技術向上

(2)取引市場を招いた出荷目揃え会

 市場のニーズに対応した高い品質を確保するため、出荷目揃え会に取引市場を招き、直接部会員への情報伝達を行うなど、生きた情報を共有することにより意識統一を図っている。

 また、出荷前や出荷後には部会役員が市場に出向き、出荷計画や出荷実績等について情報共有し、他産地よりも有利販売できる体制を構築している。

取引市場を招いての出荷目揃え会

(3)新品種情報のいち早い入手

 毎年7月に各種苗会社が開催する新品種展示会に、主に若手生産者を派遣し、品種情報をいち早く入手することで、翌年の栽培品種の選定に役立てている。

 また、10月には「品種検討会」を開催し、各種苗会社からの新品種紹介を受けて次年度の栽培品種の選定を行っている。

 新品種の導入は、市場や消費者のニーズへ迅速に対応することにつながっている。

新品種展示会での情報収集

(4)販売額等の推移

(6)組織図

3 消費者や実需者等ニーズに対応した取組

(1)実需者ニーズに対応した品質保持輸送体制

 令和2年度からは、JA広域集出荷所と予冷庫を活用し、新たな品質保持の体制を整えた。

 花きではまだ一般的ではないが、2℃以下で24時間以上冷却処理し、植物の呼吸を抑えることにより、出荷輸送中も低温を保ち、品質を保持できるようになり、これにより、咲きすぎや日持ち性の低下などのクレームがほとんどなくなっている。

 また、この取組によりJAでの集荷が1日早くなったことで、出荷量や品質規格が確定した情報に基づく予約販売が可能となり、高単価での取引につながっている。

2℃以下で24時間以上の予冷

(2)産地フェアの実施

 出荷最盛期前には、部会員とJA担当者が、取引市場において市場担当者や仲卸、生花店を対象に「JAこまちフェア」を開催している。

 フェアでは、主に対面により産地の評価や消費者ニーズを聞き取り、生きた情報を入手し、産地のPRと発展につなげている。

市場での産地フェア

4 技術紹介

(1)長期安定出荷技術

 県内のトルコギキョウ生産は、ほとんどが7月から10月までの出荷となっているが、市場の需要に応えるため、6月から11月までの長期出荷に取り組んでおり、それに対応した各種の栽培作型を導入している。

①越冬作型(6月~7月出荷)

 ビニルハウス内に11月下旬に定植し、ハウス内二重カーテン被覆に加え、定植畝へのトンネル被覆による三重被覆での保温と補助加温(2~3℃設定)により越冬させ、翌年の6月に開花させている。

②季咲き作型(7月~8月出荷)

 3月から5月上旬にかけて定植し、出荷が一時期に集中しないよう、品種の早晩性や定植時期を考慮した栽培管理を行っている。

③抑制作型(9月~11月出荷)

 6月から7月にかけて定植するが、トルコギキョウの性質上、夏季の長日高温期の栽培では未熟なまま花芽を付けてしまうことが多く、これを防ぐために、日長時間を強制的に短くして花芽分化を抑制する「シェード栽培」により、品質の確保と開花時期の調整を図っている。

 また、品種差はあるものの、赤色LEDによる夜間電照を行うことで、花芽分化の抑制効果があることから、シェード栽培の省力代替技術として取り入れ始めている。

越冬作型トンネル三重被覆

(2)土壌性病害対策

 トルコギキョウは、専用ハウスで連作されることが多いため、土壌性の病害に悩まされるケースが増えている。

 特に近年は、フザリウム菌による立枯病が多く見られており、その対策としてクロルピクリン剤による土壌消毒を部会の標準技術として取り入れ、品質と生産量の維持向上を図っている。

(3)生育中の芽整理による高品質化

 切り花品質を向上させるため、生育中に側枝や花芽を整理し、最終的に必要な花蕾を大きく育てる技術を取り入れている。

 この技術を共有するため、特に技術の高い部会員の作業をビデオマニュアル化して、産地全体の品質底上げを図っている。

芽整理技術のビデオマニュアル

5 その他特記事項

(1)先進的産地としての技術等の公開

 県内で最も古くからトルコギキョウ栽培が行われたことから、先進技術のモデル的産地として認知されており、県内外から技術研修の申し入れや視察等を受け入れている。

 このため、他産地への視察研修なども活発で、産地間の交流がしやすい環境となっている。

産地視察の受け入れ

(2)園芸メガ団地への参画と地域への波及

 平成30年度からネットワークタイプのメガ団地等大規模園芸拠点整備事業に参画して若手生産者の規模拡大を図り、地域の花き生産の主要品目としての認知度を更に高めた。

 また、令和4年度には、東成瀬村の若手農業者が新規にトルコギキョウ生産を始めるなど、管内全域に生産の輪が広がっている。

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