表彰 鹿角市 担い手 農業

ふるさと秋田農林水産大賞の受賞者の業績を紹介します。

・令和4年度ふるさと秋田農林水産大賞(産地部門) JAかづの きゅうり生産部会    

1 産地発展の経過

●昭和40年代

 鹿角地域において、稲作との複合経営の品目として、また、トマトの連作障害対策として露地きゅうりが導入された。

 鹿角地域の多くの生産者が、きゅうりの収益性の高さに今後の複合経営の品目の有力な選択肢として、大きな期待を寄せた。

●昭和50年頃

 約50名のきゅうり生産者が集まり、JAかづのきゅうり生産部会が発足し、露地きゅうり5haの規模から活動がスタートした。

●昭和51年

 きゅうりでは県内において最も早く国の指定産地に指定され、当時から現在に至るまで首都圏の大消費地への安定供給の役割を果たしている。

●平成に入り

 従来の露地栽培に加え、ハウス半促成・抑制の新たな作型が導入されたことにより、春先から降雪前までの安定的な出荷が可能になった。

 この栽培期間の拡大を契機に部会活動を盛り上げた結果、ピーク時には生産者が150名を超えるJAの中でも規模の大きい生産部会へと成長した。

●令和に入り

 長年培われた高い技術により、10a当たりの収量は、令和元~3年の3か年で14.8tと、県内JA平均の9.8tを大きく上回った。

 また、令和3年度の販売額は県内JA1位の3.6億円であり、長年にわたり販売額トップの地位を守り続けている。

2 活動内容

(1)長期出荷体制の確立と普及

 部会発足時はすべて露地栽培であったが、平成に入り、ハウスによる半促成栽培及び抑制栽培が導入され始め、5月から11月にかけて切れ目のない長期的な出荷が行われている。

 また、露地栽培の一部をハウス栽培に置き換えることで、夏季の作業ピークが分散され、適期の作業管理が可能になり、収量・品質の向上が図られている。

 ハウス栽培の技術情報や利点を部会内で共有し、新たにハウス栽培に取り組む部会員を確保し、夏場の露地きゅうりを中心としつつも、長期安定的にきゅうりを出荷できる産地へと成長した。

(2)新規就農者の確保と育成

 JAかづのでは、新規作付や規模拡大を行う部会員に対して、栽培に必須なアーチ支柱の無償貸与を行うことにより、産地の維持拡大と部会員の負担軽減を図っている。

 また、鹿角市が創設した就農研修事業を活用し、新規就農者の確保・育成に努めている。

 このようにして、新規就農者が安心して農業経営に取り組める環境を整備し、毎年若手の新規就農者を確保し、産地の活性化を図っている。

定植作業を行う若手部会員

(3)販売額等の推移(露地きゅうり+施設きゅうり)

(4)組織図

3 消費者や実需者等ニーズに対応した取組

(1)加工・業務用向け「10kg無印」規格の導入

 作付面積が拡大し、収穫量が増えるにつれて、鮮度や品質はA等級やB等級と変わらないが、規格外品となる「C品(無印)」の生産量も増えた。

 この無印を廃棄せず、有効に販売に結びつけるため、平成28年に首都圏の市場に加工・業務用(漬物用や飲食店用)として販売促進活動を行ったところ、市場関係者や実需者から高評価が得られ、現在の「10kg無印」規格として定着した。収穫の最盛期には、1日当たりコンテナで300ケース程度を出荷している。

(2)独自の規格により実需者ニーズに対応

 「長さが短い方が商品棚に陳列した際の見栄えが良い」といったスーパー等からの要望を踏まえ、標準的な出荷基準よりも若干短いJAかづの独自の出荷規格を設けており、他県産よりも「太みが映え、立派なきゅうり」として、市場関係者や消費者から評価を得ている。

 このように、ニーズに合わせて随時出荷規格を見直すなど、柔軟な対応により実需者との信頼関係を築いている。

出荷を待つきゅうり

4 技術紹介

(1)もっといいきゅうりを作るために

 高い技術を誇る産地であるが、現状に満足せず、更なる収量・品質の向上を目指して様々な試みを行っている。近年は、種苗メーカーと連携しながら、新品種や現行の主力品種の栽培試験に取り組んでいる。

 また、AIを活用した自動灌水装置の実証試験など、省力化と高品質化を目指した最先端技術の導入にも意欲的に取り組んでいる。

(2)持続可能な産地であるために

 鹿角地域のきゅうり畑は、水稲からの輪換畑は少なく、連作しているほ場が多い。生産性を維持するため、JAや普及指導員のアドバイスを元に、堆肥等の有機質資材の投入や塩類集積回避のための減肥生産に取り組んでいる。

 また、近年多発している豪雨に対応していくため、ある程度水はけの良い畑地であっても更なる排水性の向上に取り組むなど、ほ場環境の改善にも余念がない。

ほ場の排水性を高めるための実証試験

5 その他特記事項

 JAかづのきゅうり生産部会は、発足からおよそ50年が経過するが、長きにわたり出荷量、販売額等でトップを維持しており、まさに秋田県のきゅうり産地の「牽引役」を担っている。

 県内のみならず、首都圏の大消費地にきゅうりを長期安定的に出荷するという指定産地としての役割もしっかり果たしており、その品質の良さから取引先の市場やスーパーからの信頼も厚い。

県北地区園芸戦略協議会きゅうり出発式

 磨き上げた高水準の栽培技術、次代を担う若手農業者の確保と育成、実需者ニーズへの柔軟な対応、更なる高みを目指して努力を続ける姿勢。JAかづのきゅうり生産部会は今も、そして、これからも、県内一の産地として自信を持って、消費者においしいきゅうりを届け続ける。

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