表彰 担い手 農業 大館市

大館市 太田美鶴さんの取組をご紹介します

果樹の魅力に改めて気づいたサラリーマン時代

太田さんは、もともと農業に興味があり、大学時代に果樹を専攻し、卒業後はその専攻を生かすため、果樹関係団体に就職されました。

サラリーマン時代は、仕事を通じて全国の果樹園地を視察し、果樹の現場を肌で感じる機会に多く恵まれました。果樹農家の方々がやりがいをもって仕事に取り組んでいる様にふれ、改めて果樹の魅力にひかれ、自分自身も栽培に取り組みたいと強く思うようになりました。

こうして一念発起した太田さんは、お母さんの故郷であり、小さいころから馴染みのある大館市に平成28年に移住し、果樹農家になることにしました。

果樹農家になる夢の実現に向け、まずはねぎ栽培からスタート

大館市へ移住後は、農業技術を身につけるため、地域の先輩農家の所に通い、技術習得研修を約2年受講しました。研修では、大学で学んだ内容と勝手が違うことも多く、すぐに就農せずに研修の道を選んで良かったとのことです。

いよいよ就農が近づく中、農地の確保に動きましたが、自分が考える果樹園が見つからない状況でした。先輩農家の方に相談にのってもらい、まずは経営の早期安定を図るため、ねぎで農業経営を開始することを決意しました。

平成30年4月、太田さんは果樹農家になる夢の実現に向けて、まずはねぎ栽培で独立就農を果たしました。

ついに実現!果樹農家に

就農してから2年後、コツコツと、地道に技術を磨きながらねぎ生産に取り組み、優良な品質のねぎを出荷できるようになり、地域の先輩農家の方々が太田さんの実直な姿勢を見込んでくれるようになりました。そして、日本なしとりんごの果樹園を貸してくれる方が現れ、ついに果樹農家になる夢が叶いました。

ふるさと秋田農林水産大賞で大賞を受賞

こうした意欲的な取組の功績が認められ、令和4年にはふるさと秋田農林水産大賞の担い手部門・未来を切り拓く新規就農の部で「大賞」を受賞しました。

今回の連載では、太田さんへの取材を通じて、ねぎや日本なしの生育状況、地域の様子についてご紹介します。

目次

第1回 ねぎ栽培と果樹栽培で大忙しの日々

第2回 美味しい果実を生産するために

第3回 猛暑の夏を乗り越えてねぎが美味しく仕上がりました

第1回 ねぎ栽培と果樹栽培で大忙しの日々

現在、太田さんはねぎ90a、日本なし50a、りんご10aを経営しています。ねぎは、植え付け時期をずらすことで、8月から12月まで長期出荷できるよう工夫しています。

春は、ねぎ作業と果樹作業が重なることも多く、労働力配分を工夫しながら取り組んでいます。

また、地域の果樹防除オペレータも務め、地域の果樹生産の大事な役割も担っており、毎日忙しい中でも、地域を支える担い手として生き生きと活躍されています。

就農後に初めて植え付けた日本なしの苗木が大きく育っています。
日本なしの結実状況を確認しています。
太田さんのねぎがすくすく育っています。
丁寧に除草と土寄せ作業を行います。

第2回 美味しい果実を生産するために

ー 今年の日本なしの栽培状況と収穫作業について教えてください。

今年は、春の開花時期が例年よりも約10日ほど早く、また夏場も高い気温の日が多かったため、収穫も例年より10日ほど早くスタートしました。

「幸水」「豊水」「あきづき」「秋泉」「かほり」等、8月から10月頃まで収穫できるように品種を取り入れています。

果実の表面は、成熟前はザラザラとした手触りを強く感じますが、収穫間近になると徐々に表面のコルク質が変化し、なめらかになっていきます。また、果実の色も緑色が抜けて、徐々にクリーム色に変化していきます。こうした手触りや色などの変化に注意しながら、収穫時期を判断します。

収穫が遅れてしまうと、果肉が軟らかすぎたり、アルコール臭のような香りが出てしまったりと品質が落ちてしまうため、収穫判断は特に気を遣います。

ー 美味しい果実を生産するために工夫していることはありますか。

美味しい果実を生産するためには、実は、前年の作業の善し悪しが関係してきます。

その作業の1つに、夏場に行う枝の誘引作業があります。これは、天に向かって直立に伸びていく「新梢(しんしょう)」と呼ばれる枝を、紐を使って引っ張り、斜めに傾ける作業をいいます。

この誘引作業は、新梢の植物ホルモン生成に影響を与え、翌年の花芽の形成を促進させます。花芽数は果実数に大きく影響するため、丁寧に行うことが重要です。

ー 日本なし栽培に取り組む中で、どんな時に喜びを感じますか。

収穫した日本なしは、地元の大手スーパーの店頭で、「大館市中山の太田さんの梨」として販売しています。

商品の補充に行くと、自分の梨を手に取るお客様を目にします。直接買ってくださる方の姿を見ることで、大きな喜びを感じます。

また、お客様が自分の梨を待ってくださっていることへの責任も感じます。

ー 美味しい果実を生産するために心がけていることはありますか。

日本なしの収穫作業が夏ねぎの収穫作業と重なることが多く、スケジュール管理が大変なため、気持ちをうまく切り替えながら、作業を進めることを意識しています。

まだまだ果樹栽培の経験年数は少なく、分からないことも多いですが、地域の先輩農家の方々と情報交換しながら「まずは自分でコントロールできることに関しては最善を尽くす」を信条に取り組んでいます。

サラリーマン時代は、与えられた仕事をこなすという感覚が強かったのですが、農業を職業にしたことで、自分自身で目標設定やマネジメントする意識に変わりました。

また、自分の作業管理を樹々が待ってくれていると考えると、適期に手入れをしてあげたいという気持ちが強くなり、植物への愛情もわいてきます。たまに振り回されますが(笑)。自分で組み立て、そして目標達成に向かっていくことに、やりがいを感じています。

手伝いに来てくれる元同僚や、太田農園のロゴマークを創ってくれた友人など応援してくれる方々の存在も、自分が農業を経営していく上での支えになっています。みんなの声援を力にして、頑張っていきたいと思っています。

第3回 猛暑の夏を乗り越えてねぎが美味しく仕上がりました

ー 今年の夏は例年にない暑さでしたが、ねぎへの影響はありましたか。

猛暑の影響で、ねぎの太りが悪く、なかなか大きくなってくれませんでした。

また、適期防除を実施して、病気がまん延しないように努力しましたが、発生を抑えることがとても難しく、苦慮した年になりました。

ー 生育管理において、特にどのような点を工夫しましたか。

ねぎ栽培に当たっては、「根をしっかりと育てること」を意識しています。根を健康に育てることで、土壌中の栄養をしっかり吸収できるようにします。

今年の夏は、根の成長を妨げる雑草を丁寧に除草したり、液肥を葉面散布したりするなど、根の育ちが良くなるよう工夫しました。

この結果、長くしっかりとした根が育ち、猛暑の夏を乗り越えて美味しいねぎに仕上げることができました。

ー ねぎの収穫・調製作業はどのように行っていますか。

収穫が始まると、1日当たり2,400本以上のねぎを収穫します。収穫は機械を使わず手作業で行っています。

手作業で行うことで、畑の状態やねぎの根の状態をリアルタイムで確認することができ、今後の栽培に向けた課題の把握や、自分なりの戦略づくりにつなげることができます。

収穫期に入ると、猫の手も借りたくなるほどの忙しさとなりますが、自分は主に収穫と調製作業を行っています。調製作業は、家族や手伝いに来てくださる方と役割分担しながら効率よく作業を進められるように努めています。

調製の流れは「外葉をはぐ→根・葉切りをする→皮をむく→サイズ選別する→箱に詰める」という順番で行います。

雨が降った後に収穫したねぎは、泥で汚れていることがあります。この場合は、泥が付いているねぎを、布で1本1本拭き取った後に箱詰めします。ひとてまをかけることで綺麗なねぎを食卓に届けることができます。お客様に喜んでいただくための「ひとてま」は大事なことだと思っています。

ー ねぎ生産について今後の抱負を教えてください。

ねぎ栽培でも「まずは自分でコントロールできることに関しては最善を尽くす」ことは同じです。

来年も取り組んでいきたいことは、“健康な根”を育てるためのスキルアップです。

ねぎ栽培の基礎は根づくりだと思っています。今年の反省を踏まえ、情報収集や新たな管理方法の研究などを実践していきたいと思います。

太く真っ白い綺麗なねぎには、多くの手間暇がかけられていることがわかりました。 次回は、太田さんの冬の農作業の様子についてお届けする予定です。

お問合せ先

お問合せ先秋田県北秋田地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興班
住所〒018-3393 秋田県北秋田市鷹巣字東中岱76-1
電話番号0186-62-3950
FAX番号0186-63-0705

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