「白神ねぎ」栽培録 ~小トンネルで早期安定出荷!~
秋田県の沿岸北部に位置する能代市は、県内最大のねぎの産地!
白神山地を始めとする大自然の恵みをいっぱいに受けて育ったねぎは、秋田名物のきりたんぽ等にも欠かせない絶品の食材です。
「白神ねぎ」のブランド名で知名度を高めており、JAあきた白神のエース品目として、令和2年には販売額が17億7,500万円を突破し過去最高を記録しています。
能代市では現在、秋冬ねぎをメインにしながら、春ねぎ、夏ねぎの生産にも取り組み、周年での出荷を目指しています。
ですが、夏ねぎを定植する4~5月は気温が低く、ねぎ作りも一筋縄にはいかないので、その課題を解消する技術として、ねぎを被覆して保温する「小トンネル」の実証が着々と進められています。
小トンネルを使ってより早く安定した夏ねぎの出荷を実現するための実証の様子を、この特集でお届けしていきます!
小トンネルを設置して実証開始です!
実証前のねぎ苗です
小トンネルで被覆する前のねぎの苗の様子です。
小トンネルでねぎ苗を被覆!
苗を小トンネルで被覆しました。
被覆する資材は、有孔ポリエチレンと不織布の2種類。
それぞれの資材での生育の違いを見てみましょう。
設置から20日後…
トンネル設置から20日後の様子です。上の写真が「不織布」の小トンネル。
下が「有孔ポリ」の小トンネルです。
不織布のトンネルの苗より少し生育が早そうです。
設置から30日後…
更に10日が経過して、トンネル設置から30日後の様子です。
上の写真の「不織布」では、もう少しでトンネルに届きそうなぐらいまで、苗が伸びてきました。
下の写真が「有孔ポリ」では、不識布よりも苗の生育が早く、既にトンネル上部に苗が届いていました!
引き続き小トンネルを使用したねぎの栽培実証を行い、続報をお届けしていきます!
1ヶ月が経過。被覆をはがして生育を確認します!
エントリーNo.1 慣行区のねぎ
まずは、通常通り被覆無しで栽培したねぎの様子から見てみましょう。
- 草丈35.8㎝
- 葉鞘径10.38㎜
エントリーNo.2 不織布のねぎ
次が不織布で被覆したねぎです。
- 草丈 44.8㎝(+9.0㎝)
- 葉鞘径 9.98㎜(-0.39㎜)
※()内は慣行区との差
見た目にはあまり差が分かりませんが、慣行区よりも少し草丈が長くなりました。
エントリーNo.3 有孔ポリのねぎ
最後が有孔ポリで被覆したねぎです。
- 草丈 64.8㎝(+29.0㎝)
- 葉鞘径 15.05㎜(+4.67㎜)
※()内は慣行区との差
草丈、葉鞘径ともに慣行区よりも明らかに大きく生長しましたね。
収穫期を迎えました。実証結果が明らかに…!
夏ねぎが青々と育ちました!
夏本番を控えた7月。
トンネル設置から早3か月が経ち、夏ねぎの収穫期を迎えました!
掘り出したばかりのねぎ
ほ場から掘り出したばかりのねぎの写真です。
調整前のねぎは葉っぱが多く、皆さんのよく知るねぎの見た目とは、少し違うかもしれませんね。
この状態での草丈は、
- 慣行区:82.3㎝
- 不織布:86.0㎝
- 有効ポリ:89.0㎝
でした。
調製作業後、いざ実測!
調製作業を終え、皆さんに馴染みのあるねぎの姿になりました!
軟白長(白い部分)に注目すると、一番長かったのは不織布、次いで有孔ポリ、慣行区となりました。
草丈と太さは、一番大きかったのが、有孔ポリ、次いで慣行区、不織布の順でした。
重さ (g/本) | 軟白長 (cm) | 葉鞘径 (cm) | |
①慣行区 | 210.0 | 19.8 | 21.8 |
②不織布 | 180.7 | 26.5 | 20.1 |
③有孔ポリ | 224.4 | 26.5 | 22.6 |
実証を振り返って…
小トンネルでねぎを被覆すると、生育が速くなることが概ね認められました!
特に有孔ポリによる被覆では効果が大きく、一週間程度の早期出荷が見込めます。
この技術は労力やコストが掛かるため、広域で取り組むのは難しいですが、部分的に導入することで、出荷時期を早める効果が期待されます。
白神ねぎのさらなる産地発展を願って、今回のねぎ栽培録を締めくくらせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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