放牧で自給力向上を!
近年家畜の飼料価格が上昇し、畜産農家の経営を直撃しているため、自給飼料生産による経営の安定が求められています。こうした中、飼料自給率を向上させるためには、本県の豊富な水田資源を活用し、飼料の自給力を向上させる必要があります。
その取組の一環として、稲を刈らずに牛に食べさせる「立毛放牧」により、省力・低コスト飼養が可能になります。
具体的には次のようなメリットがあります。
- 放牧地の草や稲ホールクロップサイレージ等の自給飼料が不足する時期に利用できる
- 農作業の多忙な秋季に牛舎で飼養する家畜を少なくできる
- 機械による収穫・運搬作業を減らし、機械の損耗や資材、燃料を節約できる
仙北地域では、平成21年度に立毛放牧に取り組みましたが、放牧期間が限られていることと大規模放牧が難しいことから、同様の技術を活用し放牧期間の拡大を図るため、低利用地での放牧技術を組み合わせた取り組みが求められています。
今年は大仙市神岡地区の肉用牛繁殖農家において、低利用地放牧と立毛放牧を組み合わせた放牧体系を試験的に導入しています。6月下旬から低利用地放牧を開始し、9月からは立毛放牧を実施しています。
第1回 立毛放牧開始!
放牧直後の牛の様子(低利用地)
低利用地での放牧の様子です。全頭放牧経験のある牛なので電気牧柵にはすぐに慣れ、草をもくもくと食べています。給水用に桶を用意し、不足する栄養分を補うために補助飼料を与えています。
電気牧柵
電牧線に4,000~7,000V程度の電流を間欠的に流し、接触した家畜に電気的ショックを与えて、脱柵を防止するものです。
放牧直後の牛の様子(立毛)
立毛放牧の様子です。籾の部分を好んで採食するため、茎葉部分が残ってしまっていますが、電気牧柵の移動の仕方によって根本部分まで採食させることが可能です。
立毛放牧
稲が生育している水田に電気牧柵を利用して牛を放牧する技術です。
放牧10日目の牛の様子(立毛)
牛は一部稲を刈ったバックヤードで休息しています。
電気牧柵器(ソーラー電源)
この中にバッテリーが内蔵されています。これが電気牧柵の電源です。
危険表示板
電気牧柵には電流が流れています。決して触れないでください。
第2回 立毛放牧終了
ほ場の様子
立毛放牧の様子です。牛は稲の籾部分を好むため黄色いワイヤーの下をくぐって籾を食べます。写真では黄色いワイヤーの60~70cm先まで食べた跡が見られます。
放牧終了間際の牛の休息風景です。今年はほ場の泥濘化は見られず良好な状態が保たれましたが、猛暑の夏だった為一端牛を牛舎に避難させる等、天候と相談しながらの放牧となりました。今年の反省点を活かし来年も引き続きこの取組を実施する予定です。
取材協力:大仙市神岡の肉用牛繁殖農家さん
お問合せ先
お問合せ先 | 秋田県仙北地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興チーム |
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