
新たなぶどう産地づくり支援(由利地域)
目次
(1)ぶどう「シャインマスカット」とは

「シャインマスカット」は、国の研究機関である農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)で育成された品種です。マスカット特有の爽やかな香りを持ち、種なしで皮ごと食べられることから、国内外で高い人気を誇っています。品種登録された平成18年以降、栽培面積は右肩上がりに増加しており、名実ともに国内トップクラスの品種へと成長しています。
(2)産地の概要

由利地域は秋田県の南西部に位置し、沿岸部は県内でも比較的雪が少なく、温暖な地域です。当地域の果樹産業では、これまでりんごやいちじくの産地化が進んでいたものの、他の品目については限定的でした。
しかし、県の未来農業フロンティア育成研修修了生による種なし大粒ぶどうの栽培への取組や、管内の農業法人が県内でも珍しい施設栽培に取り組み始めたことなどから、ぶどう栽培への注目度が高まりました。さらに、JA秋田しんせいが旧石沢中学校グラウンド跡地に新規就農前の研修用ハウスを整備し、独自の研修制度をスタートさせるなど、産地化に向けた動きは加速しています。

令和7年2月には、管内の生産者20名による「JA秋田しんせいぶどう研究会」が発足しました。研究会では、栽培技術の向上を目的とした研修会の開催や、統一ブランド「秋田鳥海シャインマスカット」のに向けた販売促進活動などを実施しています。
今年度は、鈴木知事へ「シャインマスカット」の収穫を報告したほか、台湾への輸出と現地でのPR活動を行う予定です。
| 産地 | JA秋田しんせい(由利本荘市、にかほ市) |
| 主な品種・収穫時期 | シャインマスカット:9月下旬~10月下旬 |
(3)栽培の様子
1 露地栽培と施設栽培

県内におけるぶどう栽培は、地面に苗を植え、そこから伸びた枝や房の上のみをビニールで覆う露地(ろじ)栽培が一般的です。
一方、由利地域では近年、ビニールハウスの中で土を地面から遮断し、かん水(水やり)装置により水分をコントロールする盛土式(もりどしき)根圏制御栽培法が広がりをみせています。初期投資はかかりますが、雨が当たらないので病気が広がりにくく、露地栽培より農薬の散布回数が少ないこと、かん水を自動化できることなど多くのメリットがあります。
JA秋田しんせい研修用ハウスもこの栽培方式を導入しており、露地栽培より数年早く収穫できることが実証され、県内外から注目を集めています。
2 新梢管理

春になると、芽が出て新梢(しんしょう)と呼ばれる若い枝が伸びてきます。このうち、不要な枝を取り除き、枝同士が重ならないように配置することで、日当たりを良くします。また、それぞれの新梢が伸びすぎないよう、ある程度の長さまで達したら先端を切り落とします。いずれも地味で細かい作業ですが、品質の高いぶどうを作るためには非常に重要な作業です。
3 花穂整形

新梢がある程度まで伸びると、房の基になる花穂(かすい)が現れるので、不要なつぼみを取り除きます。整形する前の花穂は、写真のように縦長で15cmほどですが、このうち先端の4cmのみを残し、それ以外のつぼみはすべて手やハサミで取り除きます。
4 ジベレリン処理

花穂に着いたつぼみが咲き揃った頃に「ジベレリン」という植物ホルモンの液に浸すことで、ぶどうが種なしになります。花が咲くタイミングはそれぞれの花穂により異なるため、ジベレリン液が入ったカップを手に持ちながら、ちょうど良い時機の花穂を探します。タイミングを逃すと種が入ってしまうことから、慎重に見極めながら一つひとつ丁寧に処理します。
5 摘粒

小さい粒や形の悪い粒などを間引き、粒同士が押し合って傷つかないようバランス良く配置していきます。先端が細い専用のハサミを使い、残す粒を傷つけないよう一粒ひと粒、丁寧に落としていきます。残す数が多すぎると、養分が分散するため粒が大きく育たず、糖度も上がらないことから、1房につき45粒程度に調整します。
摘粒はとても時間がかかる作業ですが、早く終わらせないと粒が大きくなり、ハサミが入らなくなってしまうため、スピードと正確性が求められます。
6 袋かけ

摘粒が終わったら、房に袋をかけていきます。袋には、病気や害虫、直射日光から房を守る役割があります。それぞれの粒は、袋をかけた後も収穫まで大きくなることから、時折、袋を外して粒同士が押し合っていないか確認しつつ、じっくりと収穫を待ちます。
(4)収穫の様子

「巨峰」などの果皮に色が着く品種と異なり、「シャインマスカット」は成熟に伴う外観の変化が小さく、収穫に適したタイミング(適期)の判断が難しい品種です。さらに、同じ木に着いている房であっても成熟の進み具合が微妙に異なることから、果皮色のわずかな変化を感じ取り、適期に達した房のみを収穫します。適期より早いと甘さがのらず、遅いと果皮に障害が現れて見た目が悪くなることから、時機を逃さないように収穫します。
(5)生産者から一言

県の未来農業フロンティア育成研修修了生で、仁賀保地区でいち早く種なし大粒ぶどう栽培に取り組むJA秋田しんせいぶどう研究会の横山雄祐会長は、「由利地域から他産地に負けない品質のぶどうを届けたい」と言います。
後発産地ではありますが、全国の皆様に「秋田鳥海シャインマスカット」を選んでいただけるよう、生産者一同、情熱を持ってぶどうづくりに励んでまいります。
お問合せ
| お問合せ先 | 秋田県由利地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興チーム |
| 住所 | 〒015-8515 秋田県由利本荘市水林366番地 |
| 電話番号 | 0184-22-7551 |
| FAX番号 | 0184-22-6974 |