横手のぶどう「シャインマスカット」
平鹿地域のぶどうの栽培面積は約132ha(平成28年産特産果樹生産動態等調査)で、全県の約7割を占める県内一の産地です。特に、「種なし大粒ぶどう」については、需要の高まりから作付面積が年々増加しています。
中でも、今、最も注目されている品種が「シャインマスカット」です。「シャインマスカット」はマスカットの良い香りと高い糖度、そして何よりも皮ごと食べられる種なしぶどうという特徴があり、人気が高まっています。
高品質の「シャインマスカット」を生産するには、発芽から収穫まで、生育に合わせて様々な作業を適期に行う必要があります。今年もおいしいぶどうを作るため、皆さん張り切っています。
第1回 新梢管理作業について
新梢が生育している様子
春になって芽が出て、新梢(しんしょう)が伸びてきました。
5月26日現在、長い新梢で約25cmくらいになっています。
新梢(しんしょう)とは
その年に新しく出た枝のこと
新梢管理作業の様子
「新梢管理」とは、不要な芽や新梢を取る作業のことで、日当たりを良くし、品質の良いぶどうを作るために行います。
不要な新梢をもとから掻き取ると、空間ができて日当たりが良くなります。
花穂の様子
すでに新梢には花穂(かすい)が出ています。花穂は小さな花の集まりで、このあと花が咲いてそれぞれが粒として大きくなり、ぶどうになります。
花穂(かすい)とは
ぶどうの「房」になる部分で、小さな花が集まっているもの
第2回 花穂整形作業について
シャインマスカットの開花前の様子
開花前の時期には新梢(しんしょう)管理や花穂(かすい)の整形作業が行われます。
花穂の整形
整形前の花穂の長さは15cmほどあります。
これをこのままにしておくと、普段食べるぶどうの2倍以上の大きな房になってしまいます。
また、粒も小さく、糖度も低くなってしまうため、花穂の長さを調整します。
花穂の先端部を3.5~4cm程度残して、それ以外のつぼみを取り除きます。
上段に残しているつぼみは、この後に行うジベレリン処理作業の確認用のものです。
花穂整形作業の様子
開花直前から開花始めまでの短い期間で、すべての花穂について整形作業を行うので、この時期はとても忙しくなります。
第3回 ぶどうの花が満開!種なしにする作業を行いました
シャインマスカットの開花
シャインマスカットの花が咲きました。
ぶどうの花は花弁(花びら)を持たず、つぼみについていたキャップが取れて、めしべとおしべが現れます。
シャインマスカットが満開
整形した花穂(かすい)が満開になりました。
満開から3日間で無核処理(種なしにする処理)を行います。
ジベレリン処理
植物成長調整剤のジベレリン錠剤やフルメット液剤を混和した水溶液に花穂を浸します。
この植物ホルモンの力を利用した処理を行うことで、ぶどうを種なしにして、着粒を安定させることができます。
手にカップを持って、花穂一つ一つを丁寧に漬けていきます。
生育の進みが違う花穂を観察しながら、満開になったタイミングを逃さないように作業します。
第4回 摘粒、袋かけ作業を行いました
摘粒「前」の果房
ジベレリン処理後、7月に入ってから粒が順調に生育しています。
現在ついている粒の数は70~80くらいですが、このままでは粒が多すぎて大きく育ちません。
このため、粒を間引く「摘粒作業」(てきりゅうさぎょう)をします。
摘粒「後」の果房
摘粒後の果房の様子です。粒の数を40~45くらいに制限しています。こうすることで、大粒で甘いぶどうになります。
摘粒作業の様子
摘粒作業は、ひと房ひと房、小さい粒や向きの悪い粒を間引いて、バランス良く配置する難しい作業です。
「摘粒はさみ」という、先端の細くなった専用のはさみで、粒を傷つけないように慎重に行います。30度を超える猛暑の中、頑張っています。
袋かけ後の果房
摘粒が終了したら、袋かけ作業を行います。
袋かけは、病害虫から果房を守り、日焼けを防ぐため(強い日差しが果実にあたると傷んでしまう)に行います。
ここまで来ると、忙しかった作業も一段落。この後も新梢管理やかん水などの作業は続きます。収穫まであと2カ月弱です。
第5回 シャインマスカットが収穫期を迎えました
登熟した結果枝
秋になると、果房のついている枝(結果枝)が緑色から茶褐色に変化します。
これは登熟(とうじゅく)と呼ばれる現象で、枝が養分を蓄え、越冬する準備をしているためです。
結果枝が登熟してくると、その枝についている果房も収穫期を迎えた目安になります。
シャインマスカットの収穫
結果枝の登熟程度や果皮の色を確認しながら、成熟が進んでいる果房を収穫していきます。
収穫期のぶどう園の様子
収穫を待つシャインマスカットがずらりと並んでいます。
シャインマスカットは黄緑色の果皮色が特徴ですが、その色を維持できるよう、青色や緑色の果実袋が使われています。
出荷調整作業
収穫した果房を階級(果房の重さ)や等級(粒の揃い具合や傷の有無など)ごとに選別して袋に入れ、箱詰めします。
出荷するシャインマスカット
JAを通して出荷されるぶどうは、JA秋田ふるさとの釣りキチ三平印のぶどう箱に入れられます。
横手市産シャインマスカットは、秋田県内を中心に出荷されていますので、店頭で見かけた際はぜひご購入ください。
取材先:横手市大沢 ぶどう生産者
お問合せ
お問合せ先 | 秋田県平鹿地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興班 |
住所 | 〒013-8502 秋田県横手市旭川一丁目3番41号 |
電話番号 | 0182-32-9501 |
FAX番号 | 0182-33-2352 |