立地条件を活かした四季成り性いちごの取り組み 雄勝地域
国内産いちごの年間流通量は、20万t程度で推移しており、うち11月から5月までの6ヶ月間の出荷量が約95%を占めています。そのため、6月から10月は国内生産が休止し端境期の状態となります。
いちごは年間を通じて需要があり、その大部分が冬春季の生食需要ですが、夏秋季においてもケーキ等業務用に一定の需要があります。この期間アメリカ合衆国等、海外からの輸入に頼っている現状であり、高単価で取り引きされています。外国産いちごは供給が安定しており、実需者の評価は高い反面、鮮度、食味、硬度が劣るため国内産の生産拡大が期待されています。
いちごは冷涼作物の代表であり、夏場に安定出荷するためには高温大きな阻害要因となります。その問題を克服するため、雄勝地域で4年前から生産者と関係機関が連携し取り組んでいる、立地条件をフルに活用した四季成り性いちごの夏秋穫り栽培の状況を紹介します。
第1回 育苗から定植作業について
到着時の苗の様子
4月30日に種苗会社(北海道)から、届いた直後の苗の状態です。
葉はほとんど無く、根だけの状態です。
仮植の様子
届いた苗を根を切らないよう丁寧にポットへ植え付けます。
仮植
発芽、小さい苗を畑に植え付けるまで、条件の良い状態で育て、大きく育てる作業です。
仮植作業が終了した様子
仮植したポットは水稲育苗箱に入れ、さらにその箱の下には角材を設置し、健苗育成を目指します。
育苗管理の様子
仮植直後は強日照等環境変化に弱いため、防風網や寒冷紗等で保護します。
定植時の苗の様子
育苗中から花芽が付きますが、株のボリュームが足りないため、すべて取り除きます。
定植時の苗の様子
ポットに植え付け後25~30日程度で定植します。本葉は3枚程度になります。
植え付けの様子
1鉢、1鉢丁寧に植え付けます。
植え付け株数は、坪当たり約15株程度です。
第2回 出荷状況と栽培上の課題について
市場関係者等による現地確認(8月8日撮影)
市場関係者(大田市場)、生産者、各指導機関により、生育、出荷状況を確認しています。
出荷基準の確認(8月8日撮影)
ほ場巡回後、市場関係者から、他産地からの入荷状況、出荷に対する注意点について説明がありました。
目揃会の開催①(8月8日撮影)
8月のお盆前に、出荷基準の確認を行いました。
特にこの時期は、暑さにより果実が柔らかくなりやすいため、収穫判断が品質を左右します。
目揃会
出荷者が多くなると規格、品質にバラツキがでる為、実物を参考に出荷基準の平準化を図る会議。
目揃会の開催②(8月8日撮影)
出荷期間が、7月下旬~11月下旬の長期にわたるため、季節が変わる毎に目揃会を実施し、品質、基準の平準化を図ります。
栽培上の課題①(8月19日撮影)
株の中心部を犯す「ホコリダニ」の被害。新葉部分は萎縮し、花は黒ずんで出荷不能となります。
栽培上の課題②(8月19日撮影)
「ホコリダニ」の被害を受けた果実は果実の表面がザラツキ、タネも浮きでてきます。
栽培上の課題③(8月19日撮影)
高温の影響により発生したと思われる障害果。
変形果、先青果、色ムラ(まだら)果、及び浮きタネが目立ちます。
期待される試作品種すずあかね(8月19日撮影)
現在の基幹品種は「夏実」ですが、より大粒で、糖度が高く、硬度がある「すずあかね」への期待が高まっています。
出荷形態①(8月19日撮影)
出荷形態の基本はソフトパックでの出荷となります。
1パレットはそれぞれ、20、24、30、36、42個の5種類で出荷しています。
出荷形態②(8月19日撮影)
先青果や変形果等の規格外品は、スーパー等で販売されているレギュラーパックでの出荷となります。
先青果
交配時の障害等により、果実の先端まで着色しない果実。
取材協力:JAこまちいちご部会 さん
お問合せ
お問合せ先 | 秋田県雄勝地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興チーム |
住所 | 〒012-0857 秋田県湯沢市千石町二丁目1番10号 |
電話番号 | 0183-73-5180 |
FAX番号 | 0183-72-6897 |