農業 大館市

比内地鶏は日本三大美味鶏とうたわれ、秋田県の特産品として全国的にも有名です。

現在流通している比内地鶏のほとんどが肉質の良いメスになりますが、オスもおいしく食べてもらうため、県畜産試験場では、オスを去勢して飼育する技術の研究を平成19年から進めてきました。

去勢にはコストがかかると言われてきましたが、研究の末に効率的な去勢技術の確立に成功し、比内地鶏の去勢鶏『あきたシャポン』の生産が始まりました。

現在は、比内地鶏の生産が盛んな大館市と北秋田市で生産拡大に取り組みながら、積極的にPRを行っています。

秋田の新たな特産品として期待される「あきたシャポン」、その特徴やこれまでの取組を連載形式で紹介していきます!

目次

第1回 『あきたシャポン』とは?

第2回 『秋田比内地鶏』と『あきたシャポン』それぞれの魅力

第3回 『あきたシャポン』フレンチの世界へ

第1回 『あきたシャポン』とは?

誕生!あきたシャポン

「シャポン」とは厳選して飼育された去勢鶏のこと。発祥のフランスでは、高級食材として愛されています。

比内地鶏の本場である大館市と北秋田市では、平成24年に「あきたシャポン研究会」を設立。

比内地鶏のオス雛を去勢して8か月以上飼養し、3kg以上になるまで育てて「あきたシャポン」として売り出しています。

あきたシャポン~雛編~

去勢を終えた比内地鶏のオス雛です。

あきたシャポンとして育てるため、ふ化後4~8週の間に去勢します。

去勢後はのびのびと過ごせるよう、広い鶏舎へ移動して飼育していきます。

あきたシャポン~成鶏編~

あきたシャポンは、去勢した影響で、とさかが無く、淡い赤色の顔になるのが特徴です。

良質な脂肪が付くように工夫しながら飼養し、ふ化から7~8か月を経て、ようやく出荷に至ります。

フランス料理のシェフも絶賛!

丁寧に育てられたあきたシャポンは、濃厚なうまみとバターのような芳しい香りが一番の魅力で、脂肪も通常の比内地鶏のメスに引けを取らないほど豊富になります。

良質な脂肪が乗ってくる冬に合わせて出荷されており、ローストチキン等のメイン料理に使うのがオススメです!

試食していただいたフランス料理のシェフからも高い評価をいただきました。

次回の記事では、比内地鶏とあきたシャポンの違いを掘り下げていきます。

第2回 『秋田比内地鶏』と『あきたシャポン』それぞれの魅力

あきたシャポンと比内地鶏の違いは?

 第1回目ではあきたシャポンは比内地鶏の雄雛がもとであると紹介しました。
 ではあきたシャポンと比内地鶏の違いはどこ?と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
 第2回目では、その疑問にお答えすべく、あきたシャポンと比内地鶏の違いを見てみましょう。

比内地鶏の飼養状況

 比内地鶏は、食べ応えのある肉と黄色を帯びた脂が特徴的で、食べると濃い旨みと芳醇な香りが溢れ出ます。その旨さは日本三大美味鶏と称されるほどです。
 比内地鶏のおいしさを守るために、生産者は3つの基準を守って育てています。
 ①28日齢以降は平飼いまたは放し飼い
 ②飼育密度は1㎡当たり5羽以下
 ③飼育期間は雄100日以上、雌150日以上

日本三大美味鶏:「比内地鶏(秋田県)」、「名古屋コーチン(愛知県)」、「薩摩地鶏(鹿児島県)」

あきたシャポンの飼養状況

 こちらは今回主役のあきたシャポンです。前回紹介したとおり、あきたシャポンの一番の魅力は良質な脂です。この良質な脂をつけるために、出荷前は運動を控えさせ、餌として全粉乳を与えています。
 210日~240日と長い時間をかけて育てあげ、あきたシャポンとして出荷しています。
 あきたシャポンも元々は比内地鶏の雄雛ですが、比内地鶏とは違う飼養方法で育てることで、より特別なあきたシャポンとなります。

左が比内地鶏・右があきたシャポンです

 今回は、あきたシャポンと比内地鶏のそれぞれの魅力と育て方を紹介しました。
 あきたシャポンと比内地鶏に違いはありますが、そのおいしさをお届けするため、生産者が長い時間をかけて雛から丁寧に育てていることに変わりはありません。
 両者それぞれの魅力がありますので、是非どちらもご賞味ください。

第3回 『あきたシャポン』フレンチの世界へ

あきたシャポン(左)と比内地鶏雄(右)

 あきたシャポンを広く知ってもらうため、生産者を中心に様々な広報活動が行われてきました。
 そして、令和4年の夏、あきたシャポンの名を広める大きなイベントがありましたので、今回はその様子を紹介します。

決勝大会に向けた出荷作業の様子

 令和4年8月31日に(一社)日本エスコフィエ協会主催の「第10回エスコフィエ・フランス料理コンクール」の決勝大会が開催され、そのメイン食材としてあきたシャポンが起用されました。
 本来あきたシャポンは、脂の乗りがよい冬季の出荷に合わせて生産されますが、決勝大会に向けて夏季の出荷に合わせた生産を行うことになりました。成育は問題なく進み、品質を落とすことなく出荷することができ、フランス料理界へその名を広めるまたとない機会となりました。

日本エスコフィエ協会:近代フランス料理の祖オーギュスト・エスコフィエが確立した近代料理術と伝統の継承と発展、調理技術の再教育などを目的として活動している一般社団法人。

あきたシャポンのアレクサンドラ

 こちらが決勝大会で実際に作られた課題料理、「Chapon Alexandra(あきたシャポンのアレクサンドラ)」です。あきたシャポンの形が残る繊細な料理で、美しい皮目が目を惹きます。
 決勝大会に勝ち進んだ8名の若手シェフらが腕を振るい、その技術を競いました。

あきたシャポンのアレクサンドラを配膳

 こちらは審査用に取り分けられた料理です。副食材として比内地鶏も使用されており、味わい深く、風味豊かな逸品となりました。

おわりに

 今回の連載を通してあきたシャポンを実際に食べてみたいと興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 あきたシャポンは生産量が大変少なく、希少な食材です。見かけましたら、機会を逃さず是非ご賞味ください。

お問合せ先

お問合せ先秋田県北秋田地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興班
住所〒018-3393 秋田県北秋田市鷹巣字東中岱76-1
電話番号0186-62-3950
FAX番号0186-63-0705

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