横岡稲倉そば生産組合の取組を紹介!

「橫岡稲倉そば生産組合」は、そば栽培の振興により横岡地区の農地を守りたいとの思いから、平成27年に既存のそば生産組合を改称して誕生しました。

中山間地域に位置する横岡地区は、そば栽培に適さない水はけの悪い農地が多いですが、生産組合では排水対策を徹底し、土壌診断に基づく施肥を行うなど、高度な栽培技術を発揮し、高い単収と品質を実現しています。

また、地域の農地を次世代へつなぐため、積極的に遊休農地を集積して夏そばを作付けし、その面積は市全体のおよそ20%を占めているほか、そば打ち体験を通じて食育活動や農村交流の場を創出しています。

令和2年にはそば生産の優れた技術が評価され、全国そば優良生産表彰事業で「日本蕎麦協会会長賞」を受賞し、令和3年にはそば生産を通して地域活性化に貢献している功績が認められ、ふるさと秋田農林水産大賞の農山漁村活性化部門で「大賞」を受賞しました。

今回の連載では、組合長の齋藤喜久男さんへの取材を通して、7月~8月上旬に収穫する夏そば栽培の様子を紹介していきます!

目次

第1回 そばの生産に向けた準備から播種作業まで

第2回 そばの生育から開花期まで

第3回 そばの結実と地域での取り組み

第1回 そばの生産に向けた準備から播種作業まで

そばの種子

写真は「階上早生」という品種の種子で、粘りが強く風味豊かなそばとして人気があります。

そばはタデ科の一年生作物で、種子は三角錐のような形をしています。色は黒、黒褐色、褐色、銀灰などがあり、非常に硬いのが特徴です。

   

ほ場の排水対策(4月中旬)

そば栽培には、水はけのよいほ場が適しているため、播種を行う前に排水性を改善することが重要です。

写真のトラクターは、装備した「サブソイラー」を地中30㎝の位置でけん引して「心土」と呼ばれる硬い土の層を砕くことで、地中に水分が浸透しやすいようにしています。

また、ほ場の周囲に深さ20㎝、幅50~60㎝の素掘りの排水路を施工することで、地表からの排水も促しています。

 

そばの播種作業(4月下旬~5月上旬)

喜久男さんがトラクターを運転して播種している様子です。播種日は天候に恵まれて、良いほ場条件で作業できました。

横岡稲倉そば生産組合では、施肥・耕起・播種を同時に作業できるようにしており、作業の効率化を図っています。

トラクターの前方に装着した播種機から種子を散布し、後方のロータリーで覆土しながら走行します。

このほ場では、ばら播きで10a当たり8㎏程度播種しました。

   

そばの出芽

播種から20日後のほ場の様子です。

排水対策の徹底により、降雨後に湿害等の影響を受けることもなく、順調に芽がでてきています。

出芽率は7割を超えており、今年も高収量が期待されます。

第2回 そばの生育から開花期まで

そばの生育経過(5月下旬)

播種から35日後のほ場の様子です。

好天に恵まれ、草丈が伸長しています。ほ場全体がそばの葉に覆われ始めているため、さらに生育すると雑草の抑制効果が期待できます。

小さい蕾がつき始め、開花に向け順調に生育しています。

そばの開花期(6月上旬)

播種から45日後のほ場の様子です。

そばが開花期を迎えています。

花や茎にアリなどの昆虫が見られ、そばの受粉の様子がうかがえます。

ほ場の所々でそばの蕾が開き、白い花を見ることができます。

ミツバチの巣箱設置

そばの受粉率を向上させるために、ミツバチの巣箱をほ場に設置しました。巣箱には3,000匹のセイヨウミツバチが入っています。巣箱を設置し、時間が経過すると、安心したのかミツバチが姿を現しました。

セイヨウミツバチは1種類の花の蜜を集めてくる習性があります。そばのほ場に放飼した場合、そばの単花蜜が取れる可能性があるため、喜久男さんは密かにそばのはちみつを楽しみにしていたそうです。

そばの開花最盛期(6月下旬)

播種から55日後のほ場の様子です。

そばが開花最盛期を迎えています。

そばの花がほ場一面に広がり、奥には鳥海山が見えます。横岡稲倉そば生産組合のほ場は中山間地という厳しい環境にある一方で、このような素晴らしい景観を望むことができます。

そばの花粉を運ぶミツバチ

放飼したミツバチがそばの花に止まっています。ほ場に近づくとミツバチの羽音を聞くことができるほか、巣箱にはミツバチが出入りしており、活発に蜜を集めている様子がうかがえます。

第3回 そばの結実と地域での取り組み

そばの結実(7月上旬)

播種から60日後のほ場の様子です。

茎の先にはまだ青い状態のそばの実が確認できます。

この状態から20日ほど経過すると、実が黒くなり、収穫適期となります。

そば現地視察研修会(7月上旬)

令和5年7月4日にそば現地視察研修会が開催され、生産者や関係機関等、20名が参加しました。視察研修は横岡稲倉そば生産組合等のほ場で行われ、営農状況等について情報交換するなど、栽培技術習得を図っていました。

そばのほ場では、青かったそばの実が黒く成熟し始め、収穫適期を迎えました。

豊かなむらづくり全国表彰事業東北ブロック表彰式(11月上旬)

喜久男さんが所属する横岡集落が「令和5年度豊かなむらづくり全国表彰」で「農林水産大臣賞」を受賞したため、11月10日に表彰式へ参列しました。

そばの力で農村集落を次世代へつなぐ活動に加え、都市農村交流による関係人口の創出や、地域おこし協力隊と連携したゲストハウスの開設等が評価されました。

新そば発表会(12月上旬)

12月8日に開催された「第9回新そば発表会」には生産者や関係機関など、50名が参加しました。

会では、令和5年産の生産状況やミツバチ放飼の実証結果の報告が行われたほか、来年度に向けて活発な情報交換が行われました。

そば試食


また、そばの試食では、横岡稲倉そば生産組合、坂之下そばの会、株式会社秋田ニューバイオファームからそばの提供がありました。各団体のそばは、そば粉の割合が異なっており、割合が大きいほど風味が強く感じられ、割合が小さいほど麺の弾力と喉越しが感じられました。

横岡稲倉そば生産者組合は、試食直前に手打ちをしており、打ち立ての美味しさも届けることができたたため、参加者からは大変好評でした。

おわりに

「橫岡稲倉そば生産組合」は、令和3年度のふるさと秋田農林水産大賞受賞以降も、地域や県内の模範となる活動を行っています。

喜久男さんからは、「令和5年度は気象条件が厳しく大変苦労したが、学ぶことも多い一年であった。来年度以降も、丁寧な栽培管理を心がけ、美味しいそばをたくさんの人に届けていきたい。」とのお話しがありました。

お問合せ

お問合せ先秋田県由利地域振興局 農林部 農業振興普及課 企画・振興班
住所〒015-8515 秋田県由利本荘市水林366番地
電話番号0184-22-7551
FAX番号0184-22-6974

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